産業工芸観光イベント・RENEW 持続可能な地域産業への挑戦
毎年10月に鯖江市、越前市、越前町で開催される産業工芸観光プロジェクト「RENEW」。地域に集積する伝統工芸、地場産業の工房見学を通じて、作り手の思いや背景を知り、体験し、商品を購入する国内最大級のオープンファクトリーイベントだ。企画意図やその特徴について、実行委員会に話を聞いた。
こんなときこそ闘う姿勢を
「くたばってたまるか。」
2020年は新型コロナウイルスの影響で、全国に100ほどあるといわれる工房イベントが軒並み中止もしくはオンライン開催のみとなった。そんな中、福井県の鯖江市、越前市、越前町を会場にして開催される産業工芸観光プロジェクト「RENEW(リニュー)」はリアルでの開催にこだわった。例年通り産地の工房を開放し、工房見学やワークショップを開く一方、オンラインでの工場見学やトークイベントも併用。商品開発プロジェクトも実施したほか、全国から学生を募り、企画に携わってもらったという。
「コロナ禍でも中止は1ミリも考えず、やれる方法だけを考えました。このイベントは、産地全体が持続可能であり続けるための手段として続けてきた取り組みです。だから、こんな時こそファイティングポーズとって挑戦しなければと思いました」とRENEWのディレクターを務める新山直広氏は語る。イベント名も、「さらに更新する」の意を込めて「RE:RENEW」とした。特設サイトに掲げられた「くたばってたまるか。」の言葉は、その強い想いの表れだ。7産地から76社の工房・企業・飲食店が参加し、3日間で延べ3万2000人の来場者を集めた。
補助金頼みからの脱却を
目指し、地域自ら動く
「RENEW」がスタートしたのは、2015年。大阪から鯖江市河和田地区に移住してきたデザイナーの新山氏が、同地区でメガネフレームを生産する谷口眼鏡の社長、谷口康彦氏と出会ったことで時計が動き始めた。メガネフレーム産業の集積地として知られる鯖江市では6人に1人は眼鏡関連産業に従事しているといわれる。
「ただ、OEM産地だけに景気に左右されやすく、売り上げも減り続け、職人の誇りも低下していました。新山さんと対話をするうちに、ものづくりが元気にならないと地域が元気にならないと考え、そのためには地域が自ら動かなければならないと考えました」と谷口氏は語る。
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