国土強靭化に5年で15兆円 デジタル化や大規模地震対策を加速

防災・減災、国土強靭化の取り組みを強化するため、政府は2021年度から「5カ年加速化対策」を開始する。同分野におけるデジタル技術の活用も積極的に進められる予定で、民間のチャンスも大きそうだ。

5カ年対策の背景と狙い
防災・減災のDXが本格化

政府は2018年度~2020年度に「防災・減災、国土強靭化の3カ年緊急対策」を実施してきた。緊急対策では、防災のための重要インフラ等の機能維持。具体的には、全国で2,000を超える河川の改修や整備、1,000カ所の溜池の改修と整備などを実施して人命を守る防災・減災に取り組んだほか、55万kWの分散型電源等の導入、関西国際空港を含む6空港での浸水対策、携帯電話基地局に関する緊急対策などを進め、災害時にもライフラインを維持できるように強靭化してきた。

その結果、3カ年緊急対策で掲げた160項目の対策のうち、152項目は2020年度末までに所定の目標が達成される見込みだ。

一方で、気象災害の激甚化や頻発化は止まる所を知らず、南海トラフ地震等の大規模地震は切迫し、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化も深刻だ。国土強靱化の取り組みの加速化・深化を図るため、政府は「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を新たにとりまとめ、2025年度までの5カ年に、概ね15兆円の事業規模で123の対策を講じる。この事業規模は、3カ年緊急対策の倍以上の額となっている。

「防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策」の概要と事業規模

出典:内閣官房国土強靭化推進室資料

 

具体的には、「激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策」「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速」「国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進」の3分野で対策を進める。

中でも注目はデジタル化の推進だ。政府は「国土強靱化の施策を効率的に進めるためにはデジタル技術の活用等が不可欠である」(5か年加速化対策より)とし、国土強靱化に関する施策のデジタル化や、災害関連情報の予測および収集・集積・伝達の高度化に、AIやIoT、ビッグデータなどの技術を本格的に活用・実装していく。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り60%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。