初の企業デザイン活用度調査を実施 デザイン経営で売上高が成長

日本デザイン振興会は、日本企業の経営へのデザイン活用度調査を全国規模で初めて実施した。調査の結果、デザイン経営に積極的な企業ほど売上は成長し、従業員や顧客から愛着を持たれる比率が高いことがわかった。本稿では調査結果の要点を速報する。

本連載はデザインと経営の最新の関係の考察が目的で、今号で30回を迎える。第1回では経済産業省と特許庁が発表した「デザイン経営宣言」を取り上げたが、その後も、大企業から地域企業、スタートアップ、大学などにおける最新の動向をキーパーソンの取材を通してルポしてきた。

取材過程において幾度か、「デザインが経営に貢献したバックデータはないのか」「デザイン経営の導入や戦略を策定する際に活用できる客観的なデータはないのか」などの問いを受けた。

「デザイン経営宣言」に掲載されている調査データは海外企業が対象だったため日本の実態を把握することができず、また、デザインの取組みによるアウトカム(期待される効果)が株価推移のみで分析されていた。そのため独自に日本企業の経営におけるデザイン活用度調査を行うことにした。

調査の必要性を真っ先に提示したのは、経営宣言の研究会メンバーでもある永井一史氏であり、氏と協議を始めたタイミングで偶然にも、当会が企画運営する「東京ビジネスデザインアワード」で長年審査委員長を務める廣田尚子氏から、三菱総合研究所がデザイン経営の研究に関心を持つことを知る。結果的に永井氏と廣田氏が監修者となり、三菱総合研究所をパートナーとする共同研究チームを形成した。

同チームでは、他の国内外の調査レポートを参照し、研究目的や調査手法の検討から着手。同時にデザイン経営を既に実践している経営者やマネジャーとヒアリングを重ね、41の調査項目を設定した。

そして「デザイン経営の推進度合いをはかること」よりも、「デザイン経営の取組みと売上等のアウトカムとの相関を確認すること」を優先することとし、そのため調査対象をデザインに関心を既に持つグッドデザイン賞の応募企業にすることで、より有意義な結果を得ることを目指した。

デザイン経営に積極的なほど
売上成長率は高い

2020年2月18日から3月26日にアンケートを行い、単純集計の後、「デザイン経営の取組み」に関わる設問の回答結果に対して、0~10点の配点を付与し、回答企業を4種に分類した。これをベースに様々な設問とをクロス分析し、相関関係を解析した。

まず「過去5年の平均売上高増加状況」との相関が確認され、デザイン経営に積極的な企業ほど、売上が成長していることが示唆された。これは、過去の調査では示されたことはない。更に分析を深めると、「エンドユーザー向けの事業を多く持つ企業」と、近年注目が高まる「UX(ユーザー体験)向上のためにデジタル技術の活用に積極的な企業」は、デザイン経営に積極的であるほど売上増加傾向にあるという結果も得られた。

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