地域と連携した図書館のビジネス支援で 新規事業の芽を育む

地域経済への貢献を目的に、鳥取県立図書館は2004年よりビジネス支援事業を開始。産業支援機関や県内図書館等と連携し、起業や商品開発を目指す地域の利用者をサポートしている。地域活性化において、図書館が果たすべき役割とは何か。館長の網浜氏に話を聞いた。

網浜 聖子(鳥取県立図書館 館長)

地域経済に貢献するため
ビジネス支援事業を開始

全国の図書館が近年、ビジネス支援に力を入れている。全国公共図書館協議会の調査によれば、ビジネス支援機能を備える図書館は都道府県立図書館のほぼ全て、市区町村立では4割に到達している。これらの地方図書館を牽引しているのが、鳥取県立図書館だ。厳しい地方財政の中で年間1億円以上という資料購入費を確保し、県民一人当たりの資料購入費が全国一位になるなど、県内全域を対象としたサービスの充実を図ってきた。

県東部の鳥取市に位置する鳥取県立図書館

「ビジネス支援事業は、地域の最大の課題である地域経済の発展のため、図書館がもっと貢献できないかという想いで2004年に始めたものです。まず目指すのは、図書館に対する従来のイメージの転換です。これまでは趣味や娯楽のための施設というイメージを持たれがちでしたが、ビジネス支援に力を入れることで、未利用者を含めた県民の図書館に対するイメージを変え、その価値を再発信していきたいと考えています」と網浜館長は語る。

2004年4月、同館はビジネス支援委員会の立ち上げとともに、外部委員会を設置。県商工労働部・県農林水産部・商工会議所などに所属し、日常的に利用者の相談や支援を行う現場職員を外部委員に委嘱し、人脈づくりやサービスの展開に繋げていった。

「ビジネス支援事業の利用者は、地域での起業を狙う学生や主婦、事業展開に悩む中小企業経営者と幅広いです。特に組織に属さず、適切な相談相手を見つけにくい個人事業主やリタイア世代が多く見受けられます。商工会議所を敷居が高いと感じている人でも、図書館なら気軽に行けると相談に来られる方も目立ちます」

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