救急医療の状況を「見える化」

奈良県では「e-MATCH(救急医療管制支援システム)」を活用したリアルタイムの「見える化」で、救急患者の搬送や医療機関による受け入れの円滑化をはかっている。この取り組みを通じ、救急搬送に要する時間は年々、短縮されている。

左から奈良県消防救急課 係長 杉野秀朗氏 福田公一氏

医療機関や患者の情報を
リアルタイムで共有

救急患者の搬送や医療機関による受け入れを円滑化し、救命率向上や後遺症軽減につなげることは全国的な課題となっている。このような中、奈良県ではe-MATCHを活用したリアルタイムの「見える化」で、その取り組みを進めている。

奈良県では2009年の消防法改正を受けて、「奈良県救急搬送及び医療連携協議会」を設置した。協議会では救急患者が適切な医療機関へ速やかに搬送されるよう、救急搬送ルールの策定や見直しを行ってきた。

さらに官民連携によるe-MATCHの開発を進め、2012年にこれを導入した。これによって県内のすべての救急医療機関と救急隊がネットワークで結ばれ、病院や患者の情報を24時間365日、リアルタイムで共有できるようになった。県内の消防本部や救急車両、救急患者を受け入れる病院、救命救急センターには、そのための端末(iPad)が配布された。

「e-MATCHの導入当初は、関係機関の方々にシステムの操作や登録などを熟知していただくための時間が必要でした。協議会での議論や関係機関との協議、説明会等を重ねた結果、現在はシステムが浸透してきたと感じています」(奈良県消防救急課)

救急患者を搬送する際、救急隊員は現場で得た患者の情報を端末に入力する。入力された情報はネットワークを通じ、救急隊が受け入れを要請する医療機関へ瞬時に送られる。

e-MATCHの患者情報の入力画面

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