全国に広がる服作りネットワーク 日本の縫製業を次代につなぐ

家庭の事情や工場の廃業などにより活躍の場を失っていた全国の縫製職人をネットワーク化し、縫製の仕事を委託。さらに、その基盤を活かして「アパレルの地産地消」などの新事業を計画する。ヴァレイは独自の仕組みをつくり上げ、衰退する日本の縫製業の復興を目指している。

谷 英希(ヴァレイ 代表社員)

衰退する日本の縫製業を活性化させ、日本の縫製文化を次世代に引き継ぎたい。そのために、合同会社ヴァレイ(本社:奈良県上牧町)の代表社員、谷英希氏は独自の仕組みをつくり上げた。全国にいる腕の立つ縫製職人をネットワーク化し、アパレルブランドのデザイナーなどから小ロットの仕事を受注して、適切な職人に委託する。その仕組みは今年、経済産業省の要請を受けた医療用ガウンの大量生産でも有用性を発揮した。

谷代表は今、縫製職人とのネットワークを活かして数々の新事業に挑戦。上場を目指して成長戦略を本格化させている。

全国にある職人の自宅を
「小さな縫製工場」に

谷代表がヴァレイを創業したのは2016年1月、25歳の時だ。起業のきっかけは母親が経営する縫製工場への入社を断られたことだった。「縫製工場なんてやらないほうがいい」。母親からそう言われたにもかかわらず、谷代表がこの業種を選んだのは、「縫製業界にはチャンスがあると思ったから」だと言う。

奈良県上牧町にあるヴァレイ本社。マザー工場として、裁断、ボタンホールなどの専門的な業務や生産管理業務などを担う

かつては日本の主力産業の1つだった縫製業。しかし現在では衰退産業と見なされ、新規参入者はほとんどなく、担い手の高齢化が進んでいる。

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