2020年10月号
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地域で生まれる新産業

安宅和人氏が語る、ウィズコロナ時代の「開疎化」の本質

安宅 和人(慶應義塾大学 環境情報学部 教授、ヤフー チーフストラテジーオフィサー)

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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、接触回避や社会的距離の確保など、都市やオフィス空間の使い方・あり方そのものが問われている。“ウィズコロナ”、そして“開疎化”という言葉を生み出した安宅和人氏に、〈開疎化〉の本質と空間のあるべき姿を聞いた。

〈開疎化〉の本質は“開”にある

――提唱された〈開疎化〉が大きな反響を呼んでいます。

安宅 考えていた以上の反響で、正直驚いています。3月頃に、ネットの番組で話をしたのが最初です。当時、コロナは1~2カ月で終息すると考えていた人が多かったですが、私の当初からの主張は「計算上、どのシナリオでも1年半~2年くらいかかる」ということ。だから「アフターコロナはしばらく来ない。ウィズコロナ状況下でどう社会がサバイブするか、社会システムをどう再構築するかを考えなきゃダメだ」という話をしてきました。

安宅 和人(慶應義塾大学 環境情報学部 教授、ヤフー チーフストラテジーオフィサー)

その視点で考えると、これまでの都市化の背後にある密密化的なトレンドとは違う、すごく強いトレンドが起こりつつあり、これを早く発信しておいたほうがよいと思って4月頭に発信したのが〈開疎化〉です。

しかし、都合よく考えられているところもあると感じています。開放(open)×疎(sparse)で〈開疎化〉なのですが、皆“疎”は意識しても“開放”への意識が低い。開放して空気を入れ替えられないと、どんなに疎でも意味がありません。「三密回避」と言っている多くの取り組みは密回避の話しかしていないので、両方を合わせて議論しないと本質的な意味はないということを相当強く言う必要があると思っています。空気を淀ませないことがパンデミック下において重要だからです。

開疎化は過疎化という言葉と響きは確かに似ていますが、関係ありません。「過疎空間」があることは事実ですが、そういう場所の多くは外部に対して閉じています。空気の開放性はあるかもしれませんが、文化の面では閉じている。外部に対して開放性を持ち、淀まないというのが本来の開疎の“開”です。なので空気の視点では開疎ではあるが、文化的な視点まで入れると密疎であるというのが、過疎空間の課題だと考えられます。これはここでの本筋ではないですが……。

反響のなかには、都市文明の終わりを望むような人々の反応がひとつ、自分たちが根本的に存続を問われていると意識する人々の反応の2つがあると思っています。東京・大阪はもちろん地方都市もですが、密である都市空間はきわめてパンデミックに弱い状況です。オフィス空間も街も、ウィズコロナ的な状況が続く、パンデミックが頻度高く起きる状況が続く限り、作り直すことが望ましく、後者の認識は正しいものだと思います。前者の、都市の住民が過疎地に行くという話はかなり飛躍していて、正しいのか微妙です。確かに恵まれた人に移住をしている人はそれなりにいますが、多くの人は会社や子どもの学校などの制約があり、そう簡単に移れません。「地方の時代」という反応も多くありますが、地方都市も都市であることに変わりはなく、開疎ではないのです。

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