国内最大級のレタス植物工場 農業で事業をつくる人を育てる

香港に本拠を置き、高温多湿の環境下でレタスの水耕栽培の技術を確立したAGTCインターナショナル。その日本法人であるアグテコは、滋賀県野洲市に4ヘクタールの植物工場をこの春に開業した。食料供給の問題を解決し、DXも推進。農業を若者に選ばれる職業にすることを目指す。

温室内、太陽光でフリルレタスを水耕栽培し、包装して出荷する

琵琶湖の南東部に位置する滋賀県野洲市に、2020年春、国内最大級の植物工場「アグテコファーム吉川」が開業した。水耕栽培でフリルレタスを育てている。この植物工場を開設したアグテコ代表取締役の宮代昌明氏が、同社が目指す新しい農業について語った。

宮代 昌明 アグテコ 代表取締役

中国で技術開発、
滋賀で本格栽培

宮代氏は、香港を拠点に2017年にAGCTインターナショナルグループを起業した。アグテコは同グループの日本法人という位置づけだ。

「2050年にも到来すると予測される食糧危機を、農業の力で解決することを目指して創業しました。本部と研究所は香港に、試験農場は上海で運営しています。高温多湿で野菜の栽培に向いていない場所で技術を確立できれば、世界中どこでも通用すると考えました」と宮代氏は説明する。

宮代氏はもともと、海外で都市開発の仕事に携わっていた。中国のまちづくりでは、都市部に食料の生産拠点を置きたいというニーズがあった。そのために各国の植物工場や水耕栽培技術の研究をする中で、滋賀県で農家を営む南出卓哉氏(現アグテコ取締役)と出会った。

「滋賀県はレタス産地としてのイメージは無いかもしれませんが、戦後すぐ水耕栽培を開始しており、技術やノウハウが蓄積されています。また、水耕栽培に必要な良質な地下水にも恵まれています。南出氏が40年にわたって農業を続けてきた場所でもあり、ここで新しい農業に取り組もうと思いました」。

アグテコの植物工場の特長は、太陽光を利用していること。レタスをはじめとする野菜の植物工場では、LED光を使って成長速度を上げることもできるが、その道は選ばなかった。「アグテコでは、安全においしく食べられる食料を作る、という理念があります。このために、太陽光の下、露地栽培と同程度の日数をかけてレタスを育てています」。

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