広島県・モリサワ、必要な情報を柔軟にタイムリーに発信
外国人観光客や在住者が増える中、災害時の情報伝達に課題感を持っていた広島県。課題解決策として導入したのが、モリサワの多言語対応の情報発信ツール『MC Catalog+』。"県民全員へ安全・安心に繋がる情報を届ける"広島県広報課の取り組みを聞く。
災害時の情報を迅速かつ
正確に外国人に届ける
平成30年7月豪雨で、広範囲にわたる被害に見舞われた広島県。この大災害をきっかけに、災害情報のような、すぐに周知されなければならない正確な情報が、外国人に伝わっていないことが、大きな課題として浮き彫りになった。
広島県広報課 自主広報・県民対話グループの瀬戸主査は「2018年に広島県を訪れた訪日外国人の数は275万人となっています。外国人観光客や在住者が年々増えるなかで、必要な情報を外国人に届けられていないことは、これまでも課題感として持っていました。その課題が、『平成30年7月豪雨』で顕在化したといえます」と話す。
課題解決に向け広報課が導入したのが、モリサワの多言語ユニバーサル情報発信ツール『MC Catalog+』。あらゆる紙媒体をデジタル化し、スマートフォンやタブレット端末に手軽に配信。時間・場所・言語にとらわれず、情報発信から閲覧環境までワンストップで最適な環境を提供する同ツールは、情報発信の多面化手段のひとつとして、全国およそ140の自治体に活用されている。
広報課ではTwitterやFacebookをはじめ、自主広報として県民にプッシュ型で情報を届ける媒体を扱っている。"広島県民全員"へ情報を届けることをミッションとしているが、その"全員"には、もちろん、外国人観光客や在住者も含まれる。『MC Catalog+』は、それを実現するための強い味方となっている。
「『MC Catalog+』には様々な活用法があり、広報紙や観光情報を多言語化して発信することもできますが、我々としては、特に災害情報を外国人の方々へ迅速に正確に届けることを主眼に導入しました」と同じく自主広報・県民対話グループの矢木主事は話す。
「今やスマホは、どこに出かけるのにも手放せない存在です。タイムリーな情報こそ"スマホに届けなければ"なりません。多言語化の機能も我々が求めていたものでしたが、『カタログポケット』(『MC Catalog+』の専用ビューア)には、SNSと連携するための魅力的な機能もありました。それが、専用アプリをダウンロードしなくても、ブラウザで閲覧できる点です。アプリのダウンロードが必要だとわかった瞬間、普通の人は躊躇します。Twitterなどで『カタログポケット』のURLを配信し、それをクリックすれば見られる。この『手軽さ』と『SNSの拡散性の高さ』の組み合わせに大きな可能性を感じ、導入を決めました」(瀬戸主査)。
発信情報をテンプレート化し、
適切な判断の手助けに
平成30年7月豪雨は、広島県内全域にわたる未曾有の災害だった。
「県に災害対策本部ができ、あらゆる情報が集まってくるなか、広域自治体(県)である我々が、最新の情報を多言語化し、県民に向けて発信することの大切さを学びました」(瀬戸主査)。
広島県では、モリサワと協力し、台風・地震・津波など、想定される災害に備え、情報発信のテンプレート化を考えている。様々な事象に対し、外国人の受け取る情報の翻訳がそのつど異なっていれば混乱を招く。例えば、"大雨が近づいているので○○川には近寄らないように"といった内容であれば、固有名詞である川の名称だけを入れ替えるテンプレートを作っておき、同じ事象には統一された訳で情報を届けられるように工夫する。将来的には、『MC Catalog+』を導入している市町とも共有したいという。
『MC Catalog+』には自動翻訳機能がついているが、人が翻訳したものに置き換えることもできる。災害情報など特に正確性が求められる情報については、事前に想定できるもの(給水ポイントや避難所情報など)を高い精度で翻訳し、あらかじめテンプレートとして用意しておく。
さらに、日本語部分については、外国人にもわかりやすい"やさしい日本語"で書くことで、より多くの外国人に伝わるよう工夫をする。
また、テンプレート化には至ってない情報を発信する場合でも、日本語部分を"やさしい日本語"にすることで、自動翻訳機能の精度が高まると期待している。
「災害時の情報発信の理想は、個人の置かれた状況に応じ、その人自身に必要な情報がタイムリーに届くこと。そして、地図機能と相まってその人にとって最も安全な避難経路などが知らされることです。将来的には、AIなどとの連携で可能になるでしょう。しかし、災害は待ってくれません。我々は、今できることは何かを考え、広島県にいらっしゃる方々の安全・安心に繋がる情報をタイムリーに、多言語でも届けたい。この想いを形にしてくれたのが『MC Catalog+』でした。引き続き、このツールを活用し、県民の皆さまに、行政として責任ある情報を、手軽に素早くタイムリーに伝えていきたいと考えています」(瀬戸主査)。
防災情報、
観光情報の多言語発信も
災害時の情報発信をメインに導入した『MC Catalog+』だが、平時の広報にも活用していく。
広報課では、災害のおそれが生じた際に、どのように行動すれば良いかを考えていただくきっかけとなるよう、減災対策推進担当が作成した、「行動事例集」などについての多言語化も進めたいと考えている。
「在住外国人の方は、災害時には企業、雇用主に頼ると思いますので、そうした企業との連携も必要だと考えています。世の中に溢れている"これも、外国人の方に伝えられたらいいのに"ということを拾い、柔軟にタイムリーに発信していくことが『MC Catalog+』で実現できるのではと思っています」(瀬戸主査)。
また、昨年は10万人の観客を集め、今年で3回目となるエクストリーム・スポーツ国際フェスティバル『FISE WORLD SERIES Hiroshima』についても、多言語化し世界に向けて発信していく予定だ。
多言語化に限らず、様々な機能を持つ『MC Catalog+』。広島県広報課では、各事業課、各市町の抱える困りごとに、これらの機能を活用して対応していくという。『MC Catalog+』が、自治体広報の幅を広げていく。
お問い合わせ
株式会社モリサワ
公共ビジネス課
Tel:03-3267-1378
http://www.mccatalog.jp/
広報課は4月1日より、組織改正によりブランド・コミュニケーション戦略チームとなりました。
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