広島カキの老舗 美味しさとブランド化で市場を拡大

広島のカキは水揚げ量、売上量ともに全国1位を誇る。歴史は古いが、実はブランドとしてはあまり認知されていなかった。輸出を視野に入れた、広島の養殖カキ高付加価値化事業を通じた新ビジネス確立の経緯を語る。

三保 達郎(かなわ水産社長)(写真左)右は副社長の息子・弘太郎氏

かなわ水産の創業は1867年。初代の三保久太郎が家業として牡蠣養殖業を始めた。養殖したカキは、船に乗せて大阪、九州へ運び、その場でむき身にして販売したり、料理して食べさせたりしていたそうだ。つまり創業当初から6次産業化を行っていた。

そして3代目は、1946年より東京と大阪の百貨店に生カキ直売店を出店。これが東京での販売の始まりとなる。百貨店という場所で営業するからには高いブランドイメージを築きたいと考え、「あえて、生に特化した」というのが現在につながっている。

清浄な海で育てる安全なカキ

全国のカキの約6割を生産する広島県は毎年、約100地点の海の水質を調査し、汚染のないきれいな海域で育ったカキだけを、生食用として出荷してもよいとしている。かなわ水産は、広島県内でもいち早く生食用カキに進出した企業だ。

同社が養殖を行うのは広島湾沖合約30キロに位置する無人島・大黒神島沖。ここは清浄海域内でも、生活排水の心配がなく、海水が屈指の透明度を誇るエリア。河川からは遠いので、塩分濃度が3.1%以上と高く、カキの旨みが強く出るのが特徴だ。年間出荷量はむき身換算でおよそ100トンにのぼる。

養殖を行うのは広島湾沖合約30キロに位置する無人島・大黒神島沖の清浄海域内のみ

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