チャットボットで実現する行政の省人化 情報提供を分かりやすく

自治体の抱える重要な課題として挙げられるのが人手不足の問題だ。1人当たりの業務量を増やすことが難しい中、チャットボットの進化により省人化に成功している自治体が増えてきている。

小林 拓也 NTTドコモ サービスイノベーション部

NTTドコモは、様々な社会課題に対して、5GやIoT、AIといったテクノロジーを活用した解決に取り組んでいる。現在、自治体が直面している課題は、業務の省人化・デジタル化に始まり、ライフスタイルが多様化する市民のためのサービスの充実、訪日外国人の受け入れ対応や情報発信など多種多様だ。NTTドコモ サービスイノベーション部の小林拓也氏は、「このような状況に加えて、生産年齢人口の減少により、各自治体の人的な資源は年々厳しくなっている状況です」と指摘する。

誰もがスマホを持つ時代の
サービスとプロモーション

このような課題に対応するために、ICTを有効活用する事例が成功を収めつつある。横浜市では、チャットボットを活用して、市のごみの分別案内を実施している。同氏は、「自治体の窓口では、業務時間帯しか対応を受け付けることができないが、チャットボットであれば24時間、休日や業務時間外も自動で応答が可能になります」と述べている。

実際に時間外のチャットボット対応件数は全体の約30%に上り、これまで市の職員では対応できていなかった営業時間外の市民からの問合せにも多く対応できるようになった。また、時間外対応以外のメリットとして、「従来の検索フォームやウェブサイトへのアクセスでは、目的の情報までたどり着くまでに長い時間がかかっていました。チャットボット導入により、必要な情報がすぐに入手できる点も好評です」と同氏はいう。横浜市はチャットボット導入による効果として、職員の負担減少が年間約1億円の相当であったと試算している。年間100万円代の維持費用※1を負担しても十分な費用対効果があったと評価している。

チャットボット利用が、自治体PRにつながった例が、東京都墨田区だ。墨田区では、チャットボットの回答に、ごみの捨て方の案内だけでなく、ユーザーがよく尋ねてくるごみ以外の入力に対しても、回答できるようにしている。このごみ以外の入力への回答が話題となり、SNSで人気に火が付き、4万7000リツイートを超えるまでになった。

AIとの何気ない会話が作る
住民コミュニケーション

さらに、簡単に応答率※2の高いチャットボットを実現するサービスとして、NTTドコモの対話AI技術を活用した「かたらい」というサービスを紹介した。「かたらい」では、4000万シナリオ相当の大規模応答データベースをもとに、人間と雑談することができるシステム(雑談対話システム)を提供している。本サービスを活用することで、何気ない会話からユーザー満足度を向上させるチャットボットも実現可能だ。

このようなAIを活用したチャットボットは、まちのファンを増やす仕掛けとして、幅広い分野で活用の可能性がありそうだ。

 

※1: 維持費用とは、チャットボットを動作させるためのシステムの利用料(初期構築作業や更新作業の作業費用は含まない)。
※2: 応答率とは、チャットボットに対するユーザーからの全質問数に対し、チャットボットが不明(「わからない」等)以外の応答をした数の割合のこと。

 

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株式会社NTTドコモ
サービスイノベーション部 : 小林 拓也
MAIL : takuya.kobayashi.py@nttdocomo.com

 

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