2019年11月号

地方創生フォーラム 開催レポート

ふるさとサプリで地域ブランド商品を 特産物を高付加価値化

分子生理化学研究所

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各地の農山漁村で「6次産業化」が進み、地域ブランド商品が続々と開発されているなか、真に独自性の高いブランディングは容易ではない。地域の産物にいかに新しい価値を付与するか。企業との協業で新たな活路を見出そうと模索する松田町の取り組みからそのヒントを探りたい。

消滅可能性都市の挑戦

神奈川県足柄上郡の松田町は2014年、存続できなくなるおそれがある自治体を指す「消滅可能性都市」の1つとされ、現在の人口は1万870人(2019年8月1日現在)。1995年のピーク時から2400人減少している。特に町内北部に位置する寄(やどりき)地区では人口減少が加速し、耕作放棄地の増加、農業や工芸の担い手不足、観光施設などの老朽化といった課題を抱えている。地元での雇用の場が少なく、「稼ぐ」という意識が希薄なこともあり、自然や食、また人財も含めて地域資源は豊富にありつつも、十分に生かせていないのが現状だ。

そこで町は同地区の再生戦略の方向性として、「愛犬との共生が癒やしと賑わいを創出する里づくり」を目指し、「寄七つ星ヒーリングヴィレッジ」構想が走り出した。「七つ星」というネーミングは、もともと寄地区が7つの村が寄り添って生まれた歴史に由来する。地区内にあった既存施設にカフェを設けるなどリノベーションした関東最大級の広さを誇る「寄七つ星ドッグラン」を中核に、着地型観光の開発など、5つのプロジェクトに取り組んでいる。

従来にない出口戦略を模索

その1つにブランド商品の開発や農水産物の販売促進がある。地域活性化の一環として地元の産品を「松田ブランド」として認定し、広く発信しており、すでに「さくら鱒の燻製」や「おひるねみかんジュース」などの製品が生まれている。これ以外にも寄地区には、日本茶の一般的な品種である「やぶきた種」の初期の貴重な品種が残存し、特産として流通してきた。だが本山博幸町長は、「お茶をお茶のまま売るのは限界がある。何か別の出口戦略があるのではないか」と考えていた。そうしたなかで出会ったのが、医療機関向けサプリメントの研究開発・生産を手がける分子生理化学研究所だ。

本山 博幸 松田町 町長

同社はもともと、コエンザイムQ10の研究成果を生かした製品開発を行うため、2002年に設立された企業だ。 国内外の大学や医療機関、研究機関、各専門分野の医師・専門家との共同研究に基づき開発された製品は、全国約5000件のクリニック及び医療機関への導入実績があり、ほかにも国内外200件以上のプライベートブランド・OEMの開発生産の実績もある。こうした研究開発の実績を活かし、疾患予防や早期発見のための最新検査にも取り組んでいる。

「当社の特徴は確かなエビデンスに基づき、これまで200件以上の開発生産の実績を持っていることです」と同社の本部長、谷口淳一氏は胸を張る。「『今だけお得!』といった宣伝文句で販促されているサプリメントも多いなか、医療機関向けにビジネスを展開する当社は、効果効能と安全性に徹底的にこだわっています」

谷口 淳一 分子生理化学研究所 本部長

健康・医療×地方創生に
寄与するサプリメント

サプリメントを扱う企業が地方創生とどう関係するのか、一見すると意外な印象だが、鍵は同社が展開する「ふるさとサプリ®」というサービスにある。これは全国各地の産物を有効活用し、新たな価値の創出をサポートする取り組みで、有効成分や効能効果の検証からブランド商品の開発、販売支援のプロモーションまでを一貫して手がけている。商品化された例としては、サプリメントから飲料や菓子類、調味料、さらに化粧品や入浴剤もある。

これまでの実績としては、例えば金沢大学との産官学協同により、Ⅰ型糖尿病に効果が期待されている加賀野菜「金時草」を活用した健康補助食品の開発・販売がある。また、規格外や廃棄製品を有効活用するのも同社の得意とするところだ。千葉県旭市で水耕栽培によるサンチュ専門の生産・販売を行っている農業法人では、年間に数十トンも出る外葉などの圃場廃棄を生かせないかと考えていた。成分分析をすると、ポリフェノールやビタミン、アミノ酸が豊富に含まれていることがわかったため、血糖値の高い人向けの健康補助食品を検討している。

松田町の本山町長が目をつけたのも、まさにこの「ふるさとサプリ®」だ。本山町長から相談を受け2018年11月からプロジェクトを開始した。松田町では以前から「寄のお茶プロジェクト」を推進し、耕作放棄地の再生や担い手の育成、付加価値化を進めていた。そこで谷口氏が着目したのはお茶が持つと言われる「抗菌・消臭効果」。これを生かして予防医療・介護分野に貢献できる製品化を進めており、試作段階までは到達した。今後臨床試験を行い、製品化とともにパッケージのデザインや販売のサポートまで行っていく予定だ。「このサプリメントは予防医療だけでなく、地域のブランディングや雇用創出など様々な課題解決に貢献できる」と谷口氏は話す。

ふるさとサプリによる
SDGsの目標達成

ふるさとサプリは地域が抱える様々な課題の解決を可能にし、SDGsの目標達成にも貢献しうる取り組みである。松田町の事例を見ても、持続的な雇用や継続的な収益化による経済的価値の創出、サプリメントを用いた住民に対する積極的な健康増進による社会的価値の創出、廃棄物の削減による環境価値の創出などが期待される。このように官民のパートナーシップを築いて統合的に取り組むことができることからも「ふるさとサプリ®」が地方創生に貢献できる余地は大きい。

ふるさとサプリ×SDGs

 

製品化を間近に控え、本山町長も「いちばん喜んでいるのは地域の生産者です」と語る。「これまでお茶の納入先は農協だけでした。ところが地域外の企業が新たな価値を見出してくれたことで、廃業を考えていた高齢の生産者が生きがいを感じられるようになっています。健康は永遠のテーマ。ぜひ今後の協業にも期待しています」。

谷口氏も「当社の理念はお客様により良い製品を提供することです。各地域にはよい産品はすでにある。そこに新たな付加価値をつけることで、地域に貢献していきたいと考えています」と意欲を見せている。

 

株式会社分子生理化学研究所への

お問い合わせ


株式会社分子生理化学研究所
東京都新宿区大久保3-8-2
住友新宿ガーデンタワー13F
TEL:03-5286-7010
MAIL:info@mpc-lab.com URL:https://www.mpc-lab.com

 

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