2019年11月号
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ヘルスケアの新産業

ヘルスデータ分析の専門家を育成 生涯型電子カルテに期待

丹野 清美(ヘルスデータサイエンティスト協会 専務理事)

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医療・介護データや生体情報、患者の主観的評価など、各種のデータを統合し、分析できる社会が近づいてきた。次世代のヘルスケアビジネスには、データから役立つ結果を引き出す、優秀な人材が必須。ヘルスケア分野の優れたデータサイエンティストの育成に向けたカリキュラム作りや、認定試験の準備が進んでいる。

HDS協会では、これまでに3回、ヘルスデータアナリティクス・マネジメント研究会を開催。医療・健康系職務の従事者や、ヘルスデータ分析に関心のある実務家を集めている

あちこちに分散している医療・介護・健康に関するデータをつなぎ、皆がそのメリットを感じられるようにすることは、日本にとって重要な課題だ。それの実現を加速するのが、この分野のデータ分析のスペシャリストであるヘルスデータサイエンティスト。ヘルスデータサイエンティスト協会(HDS協会)は、2017年9月に設立された、ヘルスケア分野のデータサイエンティスト育成・質の認定のための組織だ。

健康データを統合する生涯カルテ

「2018年7月に、データヘルス改革で提供を目指す8分野を厚生労働省が公表。以降、企業などから協会への関心が高まっています」と、同協会専務理事の丹野清美氏は話す。厚労省が挙げる8分野とは、(1)保健医療記録共有、(2)救急時医療情報共有、(3)PHR(生涯型電子カルテ)・健康スコアリング、(4)データヘルス分析、(5)乳幼児期・学童期の健康情報、(6)科学的介護データ提供、(7)がんゲノム、(8)人工知能(AI)。医療・介護・ヘルスケア分野を網羅している。

丹野清美 一般社団法人 ヘルスデータサイエンティスト協会 専務理事

この中で、協会において最も注目が集まっているのが、PHR・健康スコアリングだ。PHRは、複数の病院や薬局などに分散している健康関連の個人情報を集約し、データを経時的に閲覧できるようにするためのシステム。身長・体重から診療記録や投薬履歴、特定健診データなどの情報を一元管理する。

健康スコアリングは、健保組合の加入者の健康状態や医療費、予防・健康づくりへの取組状況などを取りまとめ、経営者と共有し、個人と企業が協力して健康増進のために努力するという枠組みだ。健康スコアリングは2018年に始まったばかりの取組だが、健康経営に役立つことから、企業運営上も重要になると見られている。

PHRは、これから構築される未来のシステムと言える。生涯にわたるヘルスケアデータと、個人を取り巻くリアルワールドデータ、例えば買い物の履歴や移動情報といったものを組み合わせることで、将来の健康状態に関する予測が可能になると期待されている。これらデータを組み合わせた分析は、新ビジネスを生み出すヒントともなる。

例えば、生命保険業界では有望な新商品として、健康増進プログラムを組み込んだ新型保険の販売が始まっている。ヘルスケアデータを集約し分析することで、さらに進化した生命保険を作ることができるかもしれない。HDS協会では、保険・金融分野の数理計算の専門家団体である日本アクチュアリー会での発表も、2019年11月に実施予定だ。

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