新潟に根差したICT企業 大規模農家の営農支援システムを開発

全国一の米生産量を誇る新潟でも、農業従事者の数は20年で半減した。少ない人数で多くの農地を引き受ける現代の農家に必要な管理システム「アグリノート」を開発。農業用ドローンやセンサー付き農機などのデータと組み合わせ、未来の農業を支える。

長井啓友(ウォーターセル代表取締役)

主食である米の作付面積・収穫量は、全国1位、日本の食を支えてきた農業県・新潟。そこでも、農業就業人口は1995年から2015年の間に半減した。耕地面積もじわじわと減少しているが、こちらは半減するほどではない。これが意味するのは、個々の農家の大規模化だ。しかし、耕地の集約が計画的に進んだわけではなく、地域に分散するあちこちの田畑を耕作する状態になっている。

個々の農地の状況をICTで管理

ウォーターセル(新潟市)は、このような複数の田畑を抱え、管理しなければならない農家・農業法人向けに、営農支援システム「アグリノート」を開発・運営している企業だ。設立は2011年7月。アグリノートを使うと、分散する農地を航空写真マップで可視化し、作業・収穫の記録や、スタッフ間の情報共有などが簡単にできる。ID登録数は全国で約2000、簡易版のアプリや他社システム経由でのユーザーを含めると、約6000の農業事業者で使用されている。稲作だけでなく、野菜、果樹や茶農家まで、ユーザーは多様だ。

アグリノートの操作画面。スマホでもPCでも利用可能。作業の進捗を地図で把握したり、農地ごとに実施された作業履歴や農薬散布量が分かるようになっている

同社代表の長井啓友氏は新潟出身。地元に貢献できる事業として、農業支援のICTシステムを選んだ。ユーザーの声を聞きながら、様々な外部事業者とも連携し、「アグリノート」を進化させている。同社の事業は注目されており、2018年に第3回ニッポン事業構想大賞・特別賞を受賞したほか、2019年のG20 農業大臣会合にはプレゼンター・パネラーとして招待された。

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