ITソリューション開発で ふるさと納税業務を省力化へ

総務省の通知で、寄附金に対する返礼品の価格割合が3割に定められたふるさと納税。寄附者側のお得感は減っても、人口減に苦しむ地方自治体にとって重要な財源であることは間違いない。シフトプラスでは、マイナンバーとワンストップ特例制度に対応した新システムを開発した。

motiONEフロー図

ふるさと納税のワンストップ特例の申請受理から、寄附者の居住自治体への通知書作成まで行うシステム

 

ふるさと納税を一元管理
シェアは約4割

地方のGDPを上げ、税収不足を補う一助として、2008年からスタートした「ふるさと納税制度」の利用者が増え続けている。自治体への寄附額は初年度の100億円前後から、10年目の17年には3653憶円に達した(総務省の発表資料)。

2015年から導入された「ふるさと納税ワンストップ特例制度」もこのトレンドを後押ししている。一定の条件を満たせば、寄附者にとって面倒な確定申告無しで寄附金控除が受けられるようになったのだ。実質の負担額が2000円で多彩な返礼品が選べるなど、いいこと尽くめだ。

一方の地方自治体は、ふるさと支援は「大歓迎」としながらも、担当職員の業務負担増加が年々深刻になっているという。寄附件数や受付対応のサイトが増えると、それに伴って業務量がどんどん増える。担当職員の「関連業務量を軽減し、寄附データを一元管理したい!」といった声に応えたのが、2014年にリリースされた、複数のポータルサイトの寄附情報を一元管理でき、ふるさと納税業務の軽減を実現できるシステム「LedgHOME(レジホーム)」だった。

開発元のシフトプラスでは、ふるさと納税ポータルサイト各社とのデータ連携を可能とし、現状の制度にフィットする改良を重ね、寄附件数が多い自治体からのノウハウをシステムに集約するなど、職員の負担を軽減しながら「効果を最大化する機能」を多彩に盛り込んでいる。すでに「LedgHOME」は、250以上の地方自治体が導入し、2018年度は2000億円以上の寄附金を管理するなど、実績を伸ばし続けているという。

システムを導入した自治体の多くは、「LedgHOME」を、単なる管理システムとしてだけではなく、より多くの寄附を集めるために活用している。「LedgHOME」独自のアナリティクス機能を活かして「寄附の傾向を細かく分析し、次の戦略を立てる」という。

マイナンバー管理に特化の
新システム「motiONE(モーション)」

シフトプラスでは、「LedgHOME」の開発によって、地方自治体とのネットワークが確立した。ふるさと納税業務に関わるちょっとした困りごとや個々の要望を相談されやすい環境も構築している。そんな中で顕在化してきた自治体の最大の課題が、ワンストップ特例申請にまつわる受理管理だ。自治体によっては、数万件の書類が次々と到着し、そこに付随する書類のチェックや入力業務、書類の管理作業が生じ、業務負担が大幅に増えた。膨大な書類の保管場所に悩む自治体も多い。さらに申請が集中する12月と翌1月は通知書の準備もあるため、大きな負担となっている。

またマイナンバー管理と自治体へ送付する通知書データの生成について、インターネット接続の「LedgHOME」とは切り離されたローカル端末で簡便に実現できる専用ソフトも無償で提供してきたが、シフトプラスではさらなる業務効率化に向けて検討を重ねてきた。

その結果、実を結んだのが、ワンストップ特例申請に係るマイナンバー管理業務に特化させた電子システム「motiONE」。順調にいけば2019年10月にリリース予定だ。「motiONE」は、シフトプラスが提供する総合行政プラットフォームLGSTA(レジスタ)に搭載される機能アプリである。

現在、自治体では、申請の開封から添付書類の確認作業、書類不備チェックと仕分けを紙ベースの手作業で行っている。寄附者の個人情報や本人確認書類を電子データで提供してもらうことで、この作業をシステムが代行してくれるのが大きなメリットだ。

「motiONE」ではセキュリティ面を重視し、寄附者が登録した全てのデータは、総務省が定める自治体専用のネットワークLGWAN領域内に保存される。公的なデータを大量に扱うシステムとして、セキュリティ面の機能も充実させた。

開発中の「motiONE」の画面イメージ。寄附時の登録情報の確認・変更、本人確認書類とマイナンバー確認書類をアップロードすると、自動でマイナンバーを読み取る。

寄附者が登録したマイナンバーを除く情報は「LedgHOME」と自動的に連携し、常に最新の寄附データが同期される。これにより自治体におけるふるさと納税全体の業務効率化につながる。手作業でのミス軽減や、作業スピードアップにも貢献する。かねてから危惧されていた、マイナンバーが記載されたふるさと納税関連の膨大な書類の保管場所に関する問題も解決。自治体職員は、寄附者からの電話問い合わせにも、自席にいながらLGWAN端末の画面上から検索操作できるといったIT化が実現できる。

スマート自治体を支援
自治体のあらゆる業務を効率化へ

ワンストップ特例申請業務にまつわる自治体の業務効率化に貢献する「motiONE」は、寄附者にとっても便利だ。添付書類をコピーする手間が省け、スマートフォンなどで寄附情報の確認・確認書類をアップロードするだけで簡易に申請が行える。デジタル化時代にも対応したシステムとなっている。

ワンストップ特例マイナンバー管理システム「motiONE」を導入できるのは、原則として「LedgHOME」を活用する自治体が対象になる。さっそく10月リリースに先駆けて全国の自治体からは「motiONE」の活用事例の問い合わせも殺到しているという。

シフトプラスでは、「motiONE」の開発を機に、行政で取り扱う情報を紙ではなく電子ベースで管理するシステムの開発を進めている。総合行政プラットフォームLGSTAは「個別の業務アプリケーションが乱立して連携がとれない」「運用コストの増加」などの自治体からの声に耳を傾け、マイナンバーカードの利活用を含めた幅広いアプリを取り揃えており、各自治体が必要なものを選択導入できる新システムだ。今後も自治体のあらゆる業務の効率化をバックアップしていく。

 

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