2019年8月号
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地域特集 大分県

一村一品運動からOITA4.0へ 地域創生先進県の実力

嶋田 淑之(ジャーナリスト、産業能率大学兼任教員)

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2代40年にわたって通産出身知事が続く大分県では、「一村一品運動」「先端産業の集積」など政策の継続性・一貫性が、県産業に独自の強みを与えてきた。そこに今、立命館アジア太平洋大学の留学生たちの「外部視点」が加わり、県を新たなステージへ導こうとしている。

大分県の温泉はバラエティーに富んでいる。写真は全国的にも珍しい泥湯(別府・明礬地区)

一村一品運動40年の蓄積

地域の創生という観点から見る限り、大分県ほど長期にわたって継続性・一貫性のある施策を推進してきた都道府県は稀有である。

その最たるものが「一村一品運動」である。第2次安倍内閣の「地方創生」(2014~)に先立つこと35年。県内各地の過疎化・活力低下への対策として、地域の特性を活かしつつグローバルに通用する地場産業を興して地域の振興を図ろうと、1979年に平松守彦・前知事が県内全域で開始した政策だ。

結果、関アジ、関サバ、シイタケ(冬菇など)、カボス、豊後牛、大分麦焼酎をはじめ、全国に通用する数多くの特産品が創出され、その品目数は今や336。1次産品を主体にしつつも加工食品や伝統工芸品なども含み、生産総額は1400億円に達するといわれる。40年間の蓄積が大分県の産業に強靭さをもたらしたことは疑う余地がない。

関アジ・関サバは、高級ブランド水産物の代表例だ

その一方で、就業者の高齢化や後継者不足に関しては、他都道府県と同様の厳しい状況にあり、次世代への承継と地域の振興に暗い影を落としている。

しかし、それを克服し得るカギもまた、大分県ならではの政策の長期的一貫性の中に存在する。

先端産業集積をベースに
OITA4.0推進

通産官僚時代に黎明期の日本のコンピュータ産業の育成に携わった平松・前知事は、知事就任後、先端産業を中心とした企業誘致・産業集積を推進。広瀬勝貞・現知事は集積を拡大するとともに、それをベースに、現在では、IoTやドローン産業の振興などを中心とする「大分県版第4次産業革命OITA4.0」を展開中である(→「大分産業活力創造戦略2018」)。

具体的には、県外ITベンチャー企業と連携した1次産業(県が誇るブリや車海老の養殖など)へのAIやIoTの導入や、訪日外国人観光客が増え続ける県内旅館・飲食店への「QRコードを活用した多言語翻訳プロジェクト」など、すでに31件ものプロジェクトを推進している。

すなわち、前節で指摘したような1次産業の就業者の高齢化や人材不足などに関して、OITA4.0の成果活用を通じ問題の軽減を図ろうとしているのである。

ただし、OITA4.0の推進主体となる、あるいはその技術を用いて1次産業にイノベーションを起こす主体となる「若く優秀な人材」が必要となる。

しかるに大分県は、生産年齢人口割合(2017)が全国第42位と低位にあり、特に若い世代の福岡県など県外への流出傾向が顕著だ。

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