2019年7月号
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地域特集 和歌山県

和歌山に国内初の民間ロケット射場 スペースワンの戦略と狙い

太田 信一郎(スペースワン 社長)

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小型人工衛星の需要増を見込んで、各国でスタートアップ企業が設立されている。スペースワンでは、自社ロケットと打上げ場により、競争力のあるサービス提供を目指す。和歌山県などの誘致を受け、串本町田原地区に射場の整備を決定、2021年度に運用を開始する。

2019年3月に、射場建設予定地決定について和歌山県庁で記者会見を開催。左から、堀順一郎 那智勝浦町長、仁坂吉伸 和歌山県知事、スペースワン 太田信一郎社長、田嶋勝正 串本町長

2019年3月、和歌山県串本町に宇宙ロケットの発射場が作られることが決まった。日本で初めての、民間企業のロケット打上げ射場だ。この場所が選ばれた背景について、スペースワン社長の太田信一郎氏に話を聞いた。

軌道に小型衛星を運ぶ運送業

スペースワンは、2018年7月に設立された商業宇宙輸送サービスの企業だ。キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行が共同出資して設立した。地上から所定の衛星軌道まで、顧客から預かった小型人工衛星を運ぶ、「ロケットによる運送業」を計画している。

小型衛星の数は今後、大きく増えると予想されている。普段使いのコンピュータが手のひらサイズのスマホになったように、人工衛星の世界でも、小型化と軽量化は進んだ。各種センサーの進化で、総重量100kgに満たないコンパクトな衛星でも、地球をよりきめ細かく観測できるようになった。

また、全世界に高速インターネット環境を提供する手段として期待されているのが、衛星インターネット計画。光ファイバー網が未整備の地域に、多数の小型人工衛星を上空に星座のように配置し、切れ目のないネット接続を提供しようというものだ。既にインターネット接続用の小型衛星の打上げに着手した企業もある。2017年に打上げられた小型衛星の数は330だったが、ユーロコンサルの試算では、2018年からの10年間で打上げられる小型人工衛星の総数は7000を超える。

しかし、小型化・高機能化した人工衛星を打上げる機会は大きく増えてはいない。ロケット1回の打上げコストは高額だ。小型衛星は、より大きな衛星を大型ロケットで打上げる際の隙間に積んでもらう、複数の小型衛星を相乗りで打上げる、などの方法で軌道投入されている。このため、いつ運用を開始できるか予定が立てづらい。商業目的の人工衛星では、スケジュールが読めないのは致命的だ。

そこで、小型衛星を、専用の小さいロケットで打上げるビジネスが有望視されている。スペースワンが狙う市場も、小型衛星の商業打上げというマーケット。現在、2年程度はかかる契約から打上げまでの人工衛星の打上げプロセスを、12カ月以内に短縮することを目標としている。

この目的のため、同社では全長約18メートルの小型ロケットを開発中だ。スペースワンの出資者のIHIエアロスペースは、宇宙航空研究開発機構(JAXA) と共同で、固体燃料を用いた「イプシロンロケット」を開発し、打上げを成功させた実績がある。スペースワンでは、シンプルで低コストな運用が可能な固体燃料ロケットを輸送手段として、数年後の2020年代半ばには年間20基の打上げを実現する計画だ。

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