ICTで地方の格差解消へ 無医村、無警察署などの課題を解決

「尾瀬のある郷」として、住民の90%以上が第3次産業に従事している檜枝岐村。観光立村として資源に恵まれている一方、無医村、無警察署といった住民生活の根本にかかわるハンディキャップをICTでどう補っているのか。

8月に開催する「真夏の雪まつり」

星 光祥(福島県檜枝岐村 村長)

通年型観光拠点として発展

福島県の西南端に位置し、周囲を2000m級の山々に囲まれた檜枝岐村。日本有数の自然を誇る尾瀬を訪れる観光客を対象とした旅館・民宿・キャンプ場を経営する第3次産業への就業人口が93.4%と高く、人口密度は1km2当たり1.4人という日本で最も低いという特殊な環境にある。「昭和40年代から観光が村の主産業になって冬のスキー客など多くの観光客が訪れています。村内の宿泊客の収容人数は500人ほどしかありませんが、村外に泊まったり、日帰りされたりする方が多いですね。平成10年ごろから屋外型のレジャー人気に陰りが出てピーク時よりも若年層は減少傾向にありますが、尾瀬にはリピーターが訪れ、年代を問わず人気のある『檜枝岐歌舞伎』や8月に開催する『真夏の雪まつり』など観光での収入が財政を支えています」と星村長は村の現状を話す。そして「村の面積は390km2と広いが村民は2km四方に固まっており、その分効率的な村政ができる。村の全世帯に温泉が引いてあり、上下水道も完備されていて生活的には十分な環境」と星村長。統計上では恵まれている半面、高度治療ができる病院までは約60km、会津若松市への往復には一日掛かりという医療・福祉の面での住民不安を抱える課題もあった。

その不安解消のために真っ先に取り組んだのがNTTとの連携事業でもあった遠隔医療への取り組み。先駆的取り組みとして注目を集めたが、あまりにも時期尚早だったのか医療費や医師確保などの国の施策が未成熟だったために足踏み状態に陥ったことも。しかし、先端技術に対しての意欲は衰えることなく、教育面でタブレット端末を使った電子黒板やテレビ電話の導入による日常生活を応援する買い物支援など、光ネットワークの活用には常にアンテナを高く掲げてきている。

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