英オリパラのレガシーに学ぶ 横浜インクルーシブデザイン

公民連携で、インナーハーバー地区の再生を考える。横浜共創ラボ(主催・横浜市[政策局・市民局]、横浜国立大学ローカル・ブランド・ラボ、協力・駐日英国大使館、ブリティッシュ・カウンシルほか)が2月6日、横浜駅周辺を会場に開催された。

イアン・マッキノン氏(GDI-Hub ディレクター)

超高齢・人口減少社会を迎え、未来の都市デザインには、「誰もが生き生きと暮らし、楽しく訪れることのできる」インクルーシブ(包摂的)な要素が求められている。横浜市は、「共創ラボ」という形で、介護や子育てなど社会課題の新たな解決策を企業やNPO、大学研究機関などとの対話や実証実験を通じた連携によって創発していくためのプログラムを昨年から本格的に展開している。今回は「誰もが生き生きと暮らし、楽しく訪れることができるインナーハーバーを目指して」を掲げ、3部構成で開催された。これは、横浜市が東京2020大会において英国のホストタウンとなっていることから、ホストタウンアクション第2弾にも位置づけられている。

第1部は午前中に「インクルーシブデザインの発想で考える『インナーハーバー』」と題し、パナソニックリビングショウルームを会場としたセッションが、午後に第2部「インナーハーバーを歩く」と題し、横浜駅構内および周辺地区のフィールドワークが実施された。第3部は国内外2名の有識者による「世界のオープンイノベーション・プラットフォームとしてのインナーハーバーの未来を構想する――2012年ロンドン五輪・パラリンピックのレガシーに学んで」と題してセッションを行った。

3部構成のセッションやフィールドワーク全体を通じて、障害を抱えている当事者を始め、大企業や地元企業、NPOや研究者、学生、行政職員など100名を超えるメンバーが参加し、活発な議論が行われた。

英国のオリパラ・レガシーに学ぶ
インナーハーバーの未来

基調講演に登壇したイアン・マッキノン氏は、英国のグローバル・ディスアビリティ・イノベーション・ハブ(GDI-Hub)でディレクターを務める。同国クイーンエリザベス・オリンピック・パークを手がけるロンドンレガシー開発公社(LLDC)でインクルーシブデザインを指揮。英国アクセスコンサルタント(NRAC)のメンバーとして、複合施設の基本計画、新旧建築物、製品から会場やライブイベントの運営面まで、幅広いプロジェクトに対して創造的かつ革新的なソリューションを案出し、インクルーシブデザインに関する提言を行ってきた。ロンドン五輪開催の経験を踏まえ、インクルーシブデザインとは何か、およびロンドンのバリアフリー化事例について講演した。

マッキノン氏によると、ディスアビリティ(障害)とはニッチであると共に、可視的でないために遍在している事実に気付かれにくい事象である、という。一方で、英国では障害者の可処分所得は2,490億ポンドから成り、一定規模以上の市場を形成している。

また、かつて障害へのアプローチは「治療によりノーマライズする」という医療モデルが主流を占めたが、特に1980年代以降、「障害当事者の環境を改善し、支援者の理解を得、なるべく多くの人に過ごしやすい社会環境を提供する」社会モデルが興ってきた。ディスアビリティ・イノベーションは国連・持続可能な開発の概念にも立ちつつ、「当事者の全ての人びとが彼らの廻の世界を公平に適切に体験できるよう助けるもの」と定義できる。

学知との連携で考える
ヨコハマの未来

マッキノン氏の基調講演を受け、横浜国立大学で准教授を務める藤原徹平氏が登壇。建築・設計の研究と教育に携わるほか、同大地域連携推進機構「ローカル・ブランド・ラボ」を2016年から展開する。

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