2019年4月号
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SDGs×イノベーション

農業を変えるSDGs経営 農工連携で90億人の食を支える

鶴 英明(ヤンマーホールディングス 経営企画部 事業化推進室)

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農業機械や建設機械、エンジンなどの総合産業機械メーカーであるヤンマーに設置された、事業化推進室。「A SUSTAINABLE FUTURE」をブランドステートメントとして掲げつつ、その実現に必要となる社内変革を推し進めている。「生産者と連携しつつ、消費者にも目線を合わせ『食』を考えたい」とする同社の新展開とは。

鶴 英明(ヤンマーホールディングス 経営企画部 事業化推進室)

「農業が変わる。」を掲げて

2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)。ビジネスとの融合が大きな特徴とされ、企業の行動指針にも取り込まれ、理念との結び付けで発信されるなど、本格的な浸透の動きを見せている。

ヤンマーでは、技術志向(現場的観点)と市場志向(経営的観点)の2つから事業化推進室の前身となるオープン・イノベーション・センターを2016年に設置。専任の組織を作り、研究開発・事業とは別枠で予算を確保する形で、オープン・イノベーションに本格的に取り組んだ。

「当社の現状に照らし、SDGsを究極的には見据えつつも、まず『農業が変わる』ためには、より身近な理念に置き換えることが必要と考えました。そこで創業100年目を迎えた2012年に、資源循環型社会に向けイノベーションを生み出していくビジョン『A Sustainable Future』を掲げました」

国際的に合意された目標とはいえ、新しいかたちの概念を事業理念に組み込んでいくことは、多くの企業にとって必ずしも容易ではない。

「初めはオープン・イノベーション・センターとして立ち上がった当室も、年ごとに名称を刷新し、今年は事業化推進室として3年目を終えようとしています。社外との活発な連携を図る一方で、社内では若手社員に他部署と兼務してもらい、次世代を担う人材育成にもつながるよう組織開発をしています」(鶴氏)。

農の機械化から「農工連携」へ

農業は、オープン・イノベーションという観点で見たとき、可能性が大きく広がっているホットな領域でもある。Agri-Tech(アグリテック)、スマート農業、Agriculture 4.0などのキーワードが業界を賑わせ、特に情報通信テクノロジーとの融合で新しい事業機会の創出に対する期待のほどが伺える。

そもそも農業は、身近な社会課題と密接にリンクした領域でもある。安全・安心や機能性食品といった新しい食への期待、営農管理・収穫予測といった安定的な収穫の必要性が求められる。他方で飢餓や食料廃棄といった不均衡をめぐる食糧問題の山積、担い手の高齢化と若者の一次産業離れが指摘されるなど、産業自体の将来にわたる持続性も危惧されている。

「ICTの導入で、これからの農業は特に情報化に期待が寄せられています。これまで暗に隠れていたさまざまな『情報の見える化』が実現できるという期待が高まっています。とりわけ、当社ではシステムで農家の皆さまの経験(暗黙知)を『見える化』することを目指しています。農家の方々が身に付けられた知見の蓄積は膨大なものです。他方で、時に過酷な自然条件を相手にする季節性の労働であることに鑑みますと、限られた回数と機会にしか『実験』ができないわけです。その中で突き当たった失敗をふくむ様々な気づきを形式知化し、アプリケーションとして提供可能なレベルに洗練させていく、いわば、農業を工業的にアップデートしていくことを目指しています」

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