2019年4月号
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地域特集 長崎県

野菜をシートにした新食材 ヴィーガン向けや「食べられる器」にも

早田 圭介(アイル 代表取締役社長)

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野菜をペースト状にして乾燥させたシート食材「ベジート(VEGHEET)」。製造・販売を手掛けるアイルの早田圭介社長は、10年以上わたって幾多の困難を乗り越え、事業化を成し遂げた。一般食材としてはもちろん、ヴィーガン向けや「食べられる器」など、新たな市場が期待されている。

野菜の味と栄養を詰め込んだシート食材「ベジート」は、見た目もカラフル

野菜シート「ベジート」の原材料は野菜と寒天のみで、保存料や着色料などは一切加えていない。賞味期限は常温で2年。現在、人参、大根、カボチャ、トマト、ほうれん草のシートが発売されている。野菜嫌いの子供でも抵抗なく野菜の栄養をとることができる新食材としてヒットしており、大手小売りや飲食店からも注目を集めている。

早田 圭介(アイル 代表取締役社長)

アイル(長崎県平戸市)の早田圭介社長は、大学卒業後、野村證券で同期入社のトップ営業マンとして働いていたが、平戸で食品卸業を営む父が病気になり、1994年に帰郷して新しいビジネスを模索していた。ベジートを開発するきっかけとなったのは、1998年、熊本の海苔業者が開発した「野菜のり」との出会いだった。

資金不足の課題を乗り越える

早田社長は海苔業者と共同で商品化に取り組み、2004年には中国・上海に工場を建設。早田社長も上海に行き、着々と準備を進めていたが、大きな問題が発生する。海苔業者が倒産し、生産中止になってしまったのである。

早田社長は製造技術もノウハウもないまま、野菜のり事業を引き継ぐことになった。自分たちで独自に開発するため、全国の大学にあたり、ようやく見つけたのが地元・長崎県内にある短期大学だった。

大学との共同研究によって食感の改良に成功。事業化が見えてきたため、早田社長は2006年にアイルを設立した。しかし、そこから量産化にたどり着くまでには、資金不足という課題を乗り越える必要があった。

2008年、早田社長は野菜シートの事業で日本商工会議所などが主催するビジネスプランコンテストに応募した。

「そこで一番にならなければ、この事業はやめようと思っていました」

結果は、グランプリを受賞。それが転機となり、2009年には農商工連携ファンドで500万円の助成が決まり、工場を設立することができた。

2010年には、日本貿易振興機構(JETRO)の後押しで米ニューヨークでの展示会に出展し、3日間で2700人、180社がアイルのブースを訪れる成果をあげた。

そして2011年、長崎県産炭地域振興財団から1900万円の助成が決まり、製造方法に関する特許も出願。2016年に量産機を設置した新工場を建設した。

廃棄される規格外野菜を活用

アイルは地元農家で廃棄される規格外の野菜を、安くない値段で仕入れている。これはフードロスという社会問題を解決し、農家の所得安定に貢献するためだという。

2017年に「フード・アクション・ニッポンアワード」で10選に選ばれ、それをきっかけに大手小売りの社長にプレゼンする機会を得た。その結果、アイルは「イトーヨーカドー賞」を受賞。ベジートは、2018年3月から同チェーンで試験販売されることになった。

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