2018年4月号「SDGs×イノベーション」完売!
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「世界最高品質のキャビアをつくり、新時代の和の食材として世界に発信する」。そのために最適な「水」を探し求め、浜松市春野町の湧水と出逢い養殖場を設けた企業がある。しかも同社は東京・大田区の電線会社。ミシュランシェフたちも注目するその取組みを紹介する。
文・嶋田 淑之(ジャーナリスト、産業能率大学兼任教員)
キャビアといえばトリュフ・フォアグラと並ぶ世界三大珍味のひとつであるが、近年は地方創生の流れの中、日本各地でチョウザメの養殖とそれを通じた日本製キャビアの生産も盛んになってきている。
そうした趨勢の中でヨーロッパの高級ブランドを超える世界最高品質のキャビアを創り出し、なおかつ、キャビアとチョウザメの肉を用いた「新しい和食」を生み出して世界に向けて逆輸出していこうという動きが、浜松市北部の天竜区春野町を中心に進んでいる。
手がけるのは、同市に主力工場を有する東京・大田区の電線メーカー、金子コードである。1932年創業で電話機の機ひも(電話機コード)製造などから出発した企業だ。戦後は電電公社向け電線事業で業績を伸ばしたが、1985年の公社民営化を機に、事業多角化と海外展開を指向。現在は、医療用カテーテルチューブ事業で国内シェア40~50%を占め、本事業が同社の屋台骨を支えている。売上高45.5億円(2018年3月期)、従業員数317人。浜松市の工場のほか、中国・上海に営業本部、蘇州に関連会社(工場)を展開する。
今回、三代目社長の金子智樹氏に話を伺った。
金子智樹 金子コード 代表取締役社長
「中小企業の生き残りにとって大切なのは、既存事業の延長上ではない非関連な分野で、0から1を生み出していく力です。電線から医療に参入した際もまさにその力が発揮されましたが、近年はその力が失われつつありました。そこで、改めてその力を植え付けるために、電線・医療に続く新たな事業の種を探すべく、幹部社員を期間無制限で世界放浪の旅に出しました」
この旅を通じて浮上したのが、チョウザメ養殖を通じたキャビア生産事業であった。
やる以上は世界のトップを目指す。世界1のキャビアを創るには何が必要なのか? 金子氏らは、世界中の主要なキャビア生産企業を片っ端から視察して回り、細大漏らさず情報を収集した。それを通じて、高級品の代名詞であるフランス産キャビアが実はほとんど中国産であることやロシア産キャビアにはベトナム産が多いことなど意外な事実にも遭遇したが、決定的な「気づき」を得ることにも成功する。
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