タニタが挑戦する新領域 「健康をつくる」イノベーションの力

体組成計、活動量計など、〈健康をはかる〉さまざまな健康計測機器を製造するタニタ。 誰もが幸せになる社会を目指し、食の事業や健康トータルサービスなどの新領域にも挑戦する。『日本を健康にする』ことを通じ、日本の医療費を適正化し、自社も成長させる。

谷田 千里(タニタ 代表取締役社長)

健康経営の先駆け的存在とも言える、健康計測機器メーカーのタニタ。2018年9月28日には、子会社で健康サービス事業を展開するタニタヘルスリンクが、官民ファンドのINCJおよび、ヘルスケア分野との親和性の高い事業パートナー4社と資本提携し、総額35億円の増資を実施。ヘルスケア分野のオープンプラットフォームを構築することを発表した。

タニタの前身となる『谷田無線電機製作所』が設立されたのは1944年。戦後は『谷田製作所』に改称し、電子ライターやオーブントースターなど、さまざまな商品を製造していた。転機が訪れたのは1959年。当時、米国で一般的になっていた家庭用の体重計に着想を得て『ヘルスメーター』の製造を始めたのが、〈健康をはかる〉健康計測機器メーカーとしてのスタートとなった。以降、乗るだけで計測できる体脂肪計や携帯型デジタル尿糖計などの世界初の商品や、日本で初めて透明電極を採用した体組成計、独自技術により無拘束で計測できる睡眠計など、数々のユニークな商品を生み出してきた。

『タニタ食堂』へのチャレンジ

2012年にオープンした『丸の内タニタ食堂』。1食あたり500kcal前後、塩分3.0g以下で満腹感を得られるヘルシーメニューを提供する食堂だ。プロフェッショナル仕様の体組成計を備えたカウンセリングルームで管理栄養士からの無料アドバイスも受けられる。谷田千里社長は「タニタが運営する食堂であれば独自のサービスを取り入れたい。レストランに来て、体組成をはかった結果、栄養士から『太りすぎだから食べないでください』と言われたら面白いだろうと考え、カウンセリングルームを設置した」と話す。

『タニタ食堂』はタニタ本社の社員食堂を忠実に再現した店舗。社員食堂を紹介したNHKの番組を見た出版社からの声掛けで生まれた『体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房刊)はシリーズ累計542万部のベストセラーとなった。出版後、社員食堂で食べたいという問合せが相次ぎ、その声に応えたいという思いから、一号店の『丸の内タニタ食堂』をオープンした。

製造業のタニタにとって、サービス業への進出はチャレンジである。さらに、『タニタ食堂』のメニューは食材の大きさやかみ応えなどが特徴となっているが、再現するのが難しく、多店舗展開にあたり当初は質の維持に苦慮したという。そこで独自の研修制度をつくり、現在は全国28店舗で『タニタ食堂』のメニューを提供している。一方で、『タニタ食堂』に比べて、ターゲットが広く、初期投資の少ない新業態『タニタカフェ』にも着手している。

2018年6月にオープンした『タニタカフェ』

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