注目を集める「税外収入」 「税収」拡大が置き去りでは本末転倒

「税収」は人口減少の影響を大きく受けるが、「税外収入」は自治体の創意工夫によって、増加を図ることができる。ふるさと納税制度や命名権(ネーミングライツ)も「税外収入」だ。しかし、「税外収入」だけに注目し、「税収」の拡大を置き去りにするのは本末転倒だ。

議会質問における「税外収入」の経緯

図表1 都道府県における「税外収入」の質問回数

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索

図表2 「税外収入」の議会質問の推移

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索

人口が減少することにより、何が問題として発生するのだろうか。この回答は多々ある。地域経済の停滞があるだろうし、究極的には行政の存続にも影響してくる。行政の存続に関して言うと、かつて「消滅可能性都市」という概念が話題となった。そして、人口が減少することは歳入が逓減する可能性も高まる。

歳入とは「会計年度における自治体の一切の収入」と定義する。歳出とは「会計年度における自治体の一切の支出」と捉える。そして歳入は大きく分けて、「税収」と「税外収入」がある。人口減少に伴い影響がでるのは「税収」である。一方で、「税外収入」は、人口減少とは直接的に関係がない。そのため創意工夫により、税外収入を増加させていくことは可能である。今回は税外収入に焦点を当てる。

税外収入とは「税金によらない収入」である。イメージしやすいのは「ふるさと納税制度」だろう。同制度は「納税」という2文字がある。しかし実際は「寄付」になる。これは税外収入である。

議会において「税外収入」が取り上げられた動向を確認する。図表1は、都道府県議会別にみた過去「税外収入」が取り上げられた回数である。

東京都が190回と最も多い。ただし、これは税外収入で稼ぐという視点ではない。むしろ、税外収入がとられるという観点が多い。それは「ふるさと納税」である。

総務省によると、ふるさと納税による2018年度分の個人住民税の控除額が、東京圏の1都3県で1166億円になったと発表した。東京圏で生活する多くの住民が他圏の道府県に寄付(ふるさと納税)していることになる。その意味で言うと、税外収入で稼ぐという発想は、地方圏の道府県が多い。

図表2は各都道府県議会における「税外収入」の質問回数の推移である。近年は低下しているものの傾向的には右肩上がりで拡大してきた。そして、議会質問の実例は、次のとおりである。

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