「魅力度」ワースト県の突破口 茨城「らしさ」の構築がカギ
1・2次産業を通じて非常に多くの「日本1」を有する地域資源王国・茨城県。しかし、「都道府県別魅力度ランキング」では過去9回中8回で全国最下位に終わっている。その要因は一体何なのか? そして、そこから脱却するにはどうしたらよいのか?
日本屈指の地域資源力、しかし...
「行けども行けども、田んぼ、田んぼ。何処もかしこも、田んぼ、田んぼ。四方八方、田んぼ、田んぼ。隅から隅まで、田んぼ、田んぼ...」
茨城県を舞台にした人気小説「下妻物語」(嶽本野ばら著、小学館)の有名な一節である。たしかに同県は、農業産出額全国2位(2015)という日本を代表する農業県のひとつである。「首都圏の食料基地」として、陸稲・レンコン・白菜・加工用トマト・カリフラワー・ピーマンをはじめ収穫量全国1位の産品は14品目に及ぶ。
しかし、茨城県の凄さはそれだけに留まらない。海面漁獲量(2014)では全国第4位であり、真鰯、サバ類など漁獲量全国1位の産品には事欠かない。そして、27品目において製造品出荷額全国1位という日本屈指の工業県でもある。
何を隠そう、茨城県は数多くの「日本1」を擁する地域資源王国なのである。
ところが...ブランド総合研究所が2009年に始めた「都道府県別魅力度ランキング」において、茨城県は2009~2011年3年連続全国47位、2012年46位、2013~2017年5年連続47位という結果に終始している。いったいなぜなのだろうか?
1・2次産業の「強み」が孕む脆弱さ
茨城県はたしかに屈指の1次産業県である。しかし、「同県ならではの"ブランド力ある1次産品"は何?」と訊かれて即答できる人はどれほどいるだろうか?
一般的には「奥久慈軍鶏」や「あんこう」を挙げるのが精一杯だろう。日常食に用いる良質な産品は数多いが「~を食べに茨城県に行こう」と思えるような産品は非常に少ない。「首都圏の食料基地」としての優位性ゆえに「ブランド化」などの努力が従来それほど必要なかったのかもしれない。
ただし、東京も10年後には人口減少局面に突入し、当然、市場は縮小する。今の「強み」が「弱み」に転じる前に、東京の人口減少を「脅威」として正しく認識し、しかるべき手を打つことは必要だろう。
2次産業に関しても同様だ。「茨城県の歴史と伝統に裏打ちされた全国ブランドの工業製品は何か?」と問われて即答できるだろうか?
他県であれば、たとえば、岐阜県と聞けば刀鍛冶の伝統にもとづく関市の刃物産業を容易に想起できるように、「~県と言えば...」という産業を有する県は多い。ところが茨城県にはそれが見えにくい。
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