尾﨑正直・高知県知事が語る 中山間地域の強みを生かす

全国に先駆けて人口減少社会に突入し、人口減少に伴う経済規模の縮小を経験してきた高知県。ところが、現在、経済状況は一転し、人口減少にも関わらず成長を続けている。その源泉となっている「高知県産業振興計画」の現状と今後について尾﨑正直知事に聞いた。

尾﨑 正直(高知県知事)

――高知県産業振興計画の概要について教えてください。

高知県では、県経済の活性化に向けたトータルプランとして、平成21年に「高知県産業振興計画」を策定し、官民一丸となって取り組みを進めています。この計画の戦略の柱は「地産外商」です。人口構成上、今後も当分の間、本県の人口減少は続き、県内市場の規模も減少バイアスがかかり続けることが見込まれるため、内に閉じこもるのではなく、県外・海外の市場に高知県産のモノを売ることで、高知県にとっての外貨を獲得することを狙いとしています。

「地産外商」を進めるにあたっては、県外・海外市場に打って出ていくことができる付加価値の高いモノをつくること、つまり「地産の強化」が重要となります。そのためには、大きく分けて「持てる強みを生かす」「弱みをも強みに転じる」という二つのポイントがあると考えています。

一つ目の「持てる強みを生かす」という点では、本県には多くの農産物や水産物、豊富な森林資源があります。こうした強みを生かした一次産業を核として、この一次産業から派生する食品産業、ものづくり産業、観光産業といった産業群を重点的に支援しています。

二つ目の「弱みをも強みに転じる」という点では、例えば、本県は昔から台風や集中豪雨といった災害が多く、大地震も何度か経験しており、こうした自然災害への対策を通じて得たノウハウを生かして、防災関連産業の育成を進めています。さらに、よさこい発祥の地でありクリエイティブな人材が多いという本県の強みを生かして、立地が地理的条件に左右されないIT・コンテンツ関連産業の集積にも取り組んでいます。

併せて、「外商の強化」も重要となりますが、本県には小規模・零細事業者が多いため、東京など大都市への販路開拓が自力では困難な場合も多々あるという課題を抱えています。そのため、県内事業者が共同で使えるプラットホームを設置することで、販路開拓等の支援を行っています。例えば、食品分野では、高知県地産外商公社を設立して、商談会の開催や県外市場への売り込みのお手伝いをしていますし、ものづくり分野では、ものづくり地産地消・外商センターにおいて同様のお手伝いをしています。

図 各種生産額の推移

出典:第3期高知県産業振興計画

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