真の地域金融「人とコミュニティの金融」はブルーオーシャン

浅草の芸者の声を受けて生まれた「芸者さんローン」で注目を集める第一勧業信用組合。近年は、全国の信用組合や行政と連携した「創業支援×地方創生」の取り組みにも注力する。新田信行理事長に、地域金融のあるべき姿と地方創生について聞いた。

新田 信行(第一勧業信用組合 理事長)

――地方創生において重要なことは何でしょうか。

地方創生というのは、東京から大企業を誘致することではありません。地方創生は地方の産業を育成すること。「ヒト、モノ、カネ」が東京に吸い上げられている中で、いかに産業を育てるのかということです。

少子高齢化の進む今の時代、生産性を高めるということはより高く売ることであり、量を増やすことではありません。そういう意味では、地方、つまり生産地で売ると高く売れませんので、物価が最も高く、生産力の低い東京に持っていくのが一番です。しかし、地方の中小企業にとって自力で地域の壁を越えることは非常に難しい。地方の農家や中小企業が、どうやって自力で東京のマーケットと繋がれるのでしょうか。「地産地消」がだめだと否定するつもりはありませんが、それだけでは自己満足で地方の産業は活性化しません。そういったことから、アンチテーゼ的に「地産都消」ということを提唱しています。東京が絡まない地方創生はあり得ません。

東京は地方出身者のるつぼです。「ヒト、モノ、カネ」が県境を超えて東京にやって来ます。地方の空き家は、東京の息子・娘が相続して持っているのです。その中で、地方だけで何ができるのでしょうか。経済に県境はありません。県境を作っているのは行政と金融機関です。地銀・信金・信組が自分のエリアしか見ていなければ、育てる金融はできません。だから繋がりましょう、ということを私は言っています。

――全国の地域金融機関・行政と繋がり、地方の物産を販売する物産展を行っています。

地方の人は東京と繋がりたいのに、ビジネスとして地方を応援する東京の人がいません。それは、短期的にみればメリットがないからです。しかし、長期的に見てそれでよいのでしょうか。

よくメディアの方から、地方の物産を東京で販売することにどのようなメリットがあるのかと聞かれます。短期的なメリットはないかもしれませんが、私たちは余計なお金を払っているわけではありません。信用組合は元々、非営利相互扶助の団体です。東京には地方出身者がたくさん住んでいて、故郷を思う気持ちを持っています。このような取り組みを通して、地方の生産者や東京に住んでいる地方の出身者の暮らしが豊かになります。地域金融機関にとって重要なことは、社会にどれだけ金融として貢献できるのか。大事なのは人であり、事業なのです。金融はそれを支える黒子でしかありませんし、実体経済から離れると危ないのです。世のため人のために汗をかく、そういった金融機関がないと絶対にダメです。世の中はそれを求めており、これからのまちづくりに必要です。

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