2018年9月号

キャッシュレスと地域活性

札幌市 観光客に利便性を提供  電子マネー導入で決済環境を整備

エム・ピー・ソリューション

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2018年4月、経済産業省は『キャッシュレス・ビジョン』を発表。2025年に向け、現在約20%のキャッシュレス決済比率を40%に引き上げ、将来的には80%を目指すとしている。外国人観光客の多い北海道札幌市では、イベントを中心に早くからキャッシュレス決済を導入し、地域生活にも取り入れている。

小須田 奈都(札幌市経済観光局観光・MICE推進部 観光・MICE推進課受入担当 係長)

戸島 宏二(札幌市まちづくり政策局 政策企画部 ICT戦略担当 係長)

キャッシュレスの必要性

2017年12月に札幌市が発表した観光統計データによると、2017年度上期の来札観光客数は1031万9000人で、前年度の約880万8000人と比較すると約17.2%の増加。うち、外国人宿泊者数は約110万9000人で5年連続の過去最多となり、前年度の約89万4000人と比較すると24.1%の増加となっている。

札幌市経済観光局 観光・MICE部の小須田奈都氏は「観光客の推移を見ますと毎年順調に増えています。この増えている下支えをしているのが外国人観光客と言えます」と話す。

一方で、札幌市経済観光局が行なった『外国人個人観光客動態調査』のアンケートでは、〈札幌で買い物を楽しむ上で困ったこと〉の回答に『クレジットカードが使えない店が多い』『現金を引き出せるATMが少ない』『クレジットカードが使えるかどうか分らない店が多い』などの回答が見られる。

経済産業省の『キャッシュレス・ビジョン』でも、『現金しか使えないことに不満を持つ外国人観光客は4割存在。現状のカード払いのインフラを改善しないと、2020年に訪日インバウンド旅行者が4,000万人となった場合、109億USD(約1.2兆円)の機会損失となる試算もある』としている。

小須田氏は「決済環境については、実際に何が最も必要とされているのか分からない状況です。札幌市はクレジットカードの普及が高いといった統計がある中、クレジットカード以外の手段も含めて、キャッシュレスで何が必要とさているかのニーズ把握が必要かと思います。その際には、外国人観光客がどのくらい来て、どれくらい使ったか、消費も合わせて調査していく必要があると感じます」と話す。

イベントから市民生活全般へ

札幌市等が主催する秋の食の祭典『さっぽろオータムフェスト』では2013年から電子マネーを導入している。観光客の利便性はもちろん、〈食〉をテーマにしたイベントなだけに、衛生面を考慮し、現金のやりとりを減らそうと導入を決めたという。

最初は会場の一部でテスト的に開始したが、市民の認知度も高くなり『電子マネーを使える店と使えない店があるのは不便』といった声から、今年9月に開催する『オータムフェスト2018』では、全店舗への電子マネーの導入を決めた。

現在、『さっぽろ雪まつり』『札幌ラーメンショー』『さっぽろライラックまつり』『YOSAKOIソーラン祭り』『さっぽろ夏まつり大通ビアガーデン』『さっぽろオータムフェスト』『ミュンヘン・クリスマス市in Sapporo』など、数々のイベントで電子マネーを採用。

「電子マネーを導入することで、待ち時間が減り、回転数が上がって売上が伸びます。また、小銭などを持っていなくても商品を購入できる利便性もあります。インバウンドのことも考え、市の主催するイベントに関しては、全面的に電子マネーを導入していく方針です」。(小須田氏)

また、札幌市では2011年3月から、札幌市行政施設を中心にSAPICA電子マネーサービスを開始。現在、コンビニ、グルメショップ、公共施設など利用可能なエリアは拡がってきている。2012年1月からはSAPICA電子マネー対応飲料自動販売機を札幌市内に設置。さっぽろ地下街でも約130店舗でSAPICA電子マネーを使用できる。

さらに札幌市は、2014年1月にイオングループと『さっぽろまちづくりパートナー協定』を締結。同年3月に、電子マネー『創造都市さっぽろWAON』を発行。続いて平成29年2月には『SAPPORO雪ミクWAON』も発行されるなど、全国約17万3000箇所の『WAON』加盟店で『WAON』を利用して支払われた金額の一部が市や観光協会へ寄付され、文化芸術振興や観光振興に役立てられている。札幌市出身の人が市を離れても愛するご当地を応援できる、電子マネーならではの仕組みだ。

さっぽろオータムフェストでのチャージブース(左)、店舗レジの様子(右)。市が主催するイベントでは全面的に電子マネーを導入していく方針だ。

縁の下の力もち

こうした札幌市のキャッシュレス化への取り組みに協力しているのが、電子マネー・クレジットカード対応の電子決済サービスを提供する、エム・ピー・ソリューション(東京都港区・佐藤栄治社長)。

同社では大きく2つのサービスを提供している。

1つは自動機で複数の電子マネーをすぐに使えるワンストップサービス『JMMS』。札幌市内の飲料自販機やフードコート券売機、チケット販売機、駐車場・駐輪場などの電子マネー決済には、このサービスが利用されている。最大8つの電子マネーを扱うことができ、電子マネーの追加や削除が可能だ。

もう一つは、WAON、nanaco、楽天Edy、iD、交通系電子マネーを1台の端末で決済できる『KAZAPi』。コンセントさえあれば工事不要で導入できる、手軽で便利な電子決済サービス。札幌市内でのSAPICA普及には、このサービスの導入が大きな力となっている。また、クレジットカード、QR決済への対応も1台でできるという。

札幌市まちづくり政策局・ICT戦略担当係長の戸島宏二氏は「市民カードとしてSAPICAの利用拡大には今後も力を入れていきます。そして、市民の利便性向上のためにも、電子マネーサービスをはじめとしたキャッシュレス化の促進を検討していく必要があると考えています」と話す。

経済産業省が将来の『キャッシュレス・ビジョン』として、"世界最高水準の80%"を掲げる通り、今後、電子マネーは"当たり前"のご時世になっていく。各自治体は民間企業などと連系し、様々なサービスを活用しながらキャッシュレス化促進に舵を切っていく必要があるだろう。

札幌市営地下鉄大通駅の自動販売機・証明写真機(左)、真駒駅隣接の駐車場精算機(右)。いずれも電子マネーの使用が可能で、市民の利便性を高めている。

 

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TEL:03-5488-7901
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