NTTドコモのAIエージェントで、パーソナライズした地域情報を提供

モバイル通信事業に留まらず、付加価値協創企業として、様々なソリューションを提供するNTTドコモ。全国各地の抱える複合的な課題や埋もれた課題を掘り起こし、対処する中核部署を新設した。連携協定を通じた長期的なパートナーシップで、情報発信や健康増進施策にも取り組む。

神谷大 ドコモ法人ビジネス戦略部アライアンス推進担当部長(右)、星伸寿 同地方協創・ICT推進室室長(左)

NTTドコモは、2018年4月、地域協創・ICT推進室を設置。ICTに関する最新のテクノロジーを、地域の産業や社会課題の解決に役立てることを目標に活動を開始した。同社は、2017年度に中期戦略「beyond宣言」において、「パートナーとの協創による社会課題の解決と地方創生」に取り組むことを発表。地域協創・ICT推進室は、その実現のための司令塔となる組織だ。NTTドコモにおいて地域顧客とのコミュニケーションの接点となる全国の支社、支店と協力し、ICTを利用した地域の活性化を目指す。

地域協創を束ねる部署を新設

NTTドコモではこれまで、一次産業、教育、ヘルスケア、交通手段などに関わる様々なソリューションを、担当部署が個別に提案していた。しかし、近年の地域が抱える課題は複雑化し、複合的になっている。そこで、総合的な解決策を考えることができるチームを用意し、専門チームと組み合わせて解決策を考えることになった。

例えば、ICTを用いた高齢者の見守りを単発で実施するよりも、健康増進プログラムと組み合わせた方が、「健康寿命の延伸」や「医療費増大の緩和」などの、自治体が望む効果をより生み出すことが出来る。さらに、同社の幅広い研究開発能力により、AI運行バス※といった最新テクノロジーによる自治体課題解決を実現することが可能だ。

このような取組の成功までには、従来型の自治体営業よりも時間がかかる。そこで、ドコモが選んだ手段が、自治体との連携だ。「NTTドコモでは、これまで多くの自治体と連携協定を締結してきました。直近では、大阪府や前橋市と協定を結んでいます。連携協定の取組の中で、自治体と議論を重ねていくことが重要です」と、同地方協創・ICT推進室室長の星伸寿氏は話す。

これまでドコモが実施してきた連携事例は、課題についてディスカッションを重ねることで、より優先度の高い新たな課題が浮上してくることもあった。このような、自治体と共に問題を深耕し、課題を特定していく過程は重要だが、短期のプロジェクトでは十分な時間を取れなくなりがち。長期的な視野でシステム導入後の支援や、収集したデータの活用にも、NTTドコモとして協力していくことで、長期間のパートナーシップを維持できることを期待している。

最終的な目標は、自治体で導入したシステムが同社の手を離れ、自治体だけで運営できるようにすること。「ドコモは黒子になり、地域のプレイヤーとタッグを組んで、地域の中でお金が回る仕組みを作ることをゴールとして目指しています」と、同社法人ビジネス戦略部アライアンス推進担当部長の神谷大氏は説明した。

AIエージェントが地域情報を紹介

NTTドコモでは、2018年春に複数の新しい取り組みを始めている。その中の1つが、AIエージェントサービスのリニューアル。「iコンシェル」と「しゃべってコンシェル」を融合させた「my daiz(マイデイズ)」の提供を、2018年5月30日から開始した。ユーザーの行動や状況を学習し、お客さま一人一人の暮らしに必要な情報等を提供するサービスだ。my daizを使ったユーザーとの対話や適切なタイミングでの情報提供を行いたい企業等がパートナーとして参加している。

自治体としては、埼玉県、横浜市、広島市などがパートナーとして参加予定。当初は、観光情報や市民サービスの案内に、またよりきめ細やかな住民向け配信情報にも利用可能とみられる。

今回のリニューアルにより、ユーザー属性情報等だけでなくユーザーのスケジュールやスマートフォンの利用情報等を学習していくことで、ユーザーによりパーソナライズされたサービスとなった。今後は、更にパーソナライズ化した有益な情報を提供できるようにしていく考えだ。

my daizアプリ。左から、トップ画面、インフォメーション、対話時。ユーザーは目的に合わせてパートナー企業・自治体を登録できる

行政による健康増進プロジェクト

NTTドコモが提供する「健康マイレージ」は、自治体の健康づくり事業を支援するサービスだ。埼玉県の「コバトン健康マイレージ」は2017年4月に、横浜市の「横浜ウォーキングポイント」は2018年4月に第二期の運営を開始。2018年4月には、これまでの導入ノウハウを生かして、汎用版をリリースした。

健康マイレージは、壮年期から高齢者まで幅広い年齢層をターゲットに、ウォーキングによる健康習慣を定着させることを目標にしている。データ送信機能付きの歩数計やスマートフォンを利用し、ウォーキングや特定検診等のイベント参加によってインセンティブ付与する仕組みである。例えば、歩数ランキングでは地域や企業等の団体ごと、そして歩数が類似している人を集めた「リーグ」を自動設定し、それぞれの順位を表示して、競争心とやる気を引き出す。

他にも、ウォーキング中に撮影した写真をアップできる機能やミッションに挑戦する機能などの仕掛けをちりばめている。

このような健康増進施策は、地域ごとの課題とKPIに即した活用法を提案することが重要になると、NTTドコモでは考えている。高齢者の閉じこもり防止・外出促進もKPIとするなら、歩数計を配布してタッチポイントを町内各所に設置し、外出を促す必要がある。健康に無関心な壮年期の生活習慣病予防・運動習慣の定着化を目指すには、ウォーキングに加えボーナスポイントを獲得できるイベント等のキャンペーンとセットでのサービス活用方法を検討するなどだ。

2018年5月16日には、「高齢社会のまちづくり」セミナーを開催し、自治体での健康マイレージを含むICTの活用策を探った。主に自治体を集めたイベントで、和光市や、多摩市、長野県大町市における地域包括ケアの取組について紹介し、約100名が参加した。NTTドコモは今後も自治体の健康増進・高齢福祉事業を支えるインフラとなるサービス提供を目指していく。

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株式会社NTTドコモ
法人ビジネス戦略部 アライアンス推進担当
TEL:03-5156-2772
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Mail:chihousousei@nttdocomo.com

 

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