小売りから税金まで 「カード使えます」で地域の消費拡大を
訪日外国人旅行者「数」が急増する中、外国人旅行者「消費」で利便性を高めるキャッシュレス環境整備が求められている。地域や自治体でのキャッシュレス化促進は、住民サービスの向上にもつながる。
「カード使えます」掲示は重要
「観光立国」を掲げる政府は、訪日外国人旅行者数を2020年には年4000万人、2030年には年6000万人にすることを目指している。これに伴い、訪日外国人旅行者による消費額は、2020年には8兆円、2030年には15兆円に拡大する見込みで、1つの新たな産業が出現するような機会となる。
「訪日外国人旅行者を呼び込み、消費額を増やすには、キャッシュレス化は不可欠です。地域でのキャッシュレス化促進は、外国人旅行者のためだけでなく、地域活性化やシティ・プロモーションにもつながります」
ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)取締役営業本部長の外山正志氏は、キャッシュレス化には様々なメリットを指摘した。カードで買い物する人は手持ちの現金の額を気にせずに済むことから、高額な買い物もしやすくなる。また、カード払いでは両替の必要性がないことも、外国人旅行者へのメリットは大きい。
一方、店舗でカード決済を導入し、消費拡大をはかる際には、カードが利用できることを知らせる「ブランドマーク」を、店頭など目立つ場所に掲示することも重要だ。「ブランドマークの掲示では、大型店よりもカードが使えるかどうかがわかりにくい小型店で、カード決済比率や売上が伸びるという調査結果もあります」(外山氏)
Visaでは現在、地方自治体と協力し、地域の特色に合ったブランドマークのステッカーづくりも進めている。例えば、京都市では神社のイラストや多言語の「歓迎」という文字を入れたものを作成した。
税金の期限内納付率向上も
キャッシュレス環境整備は、外国人旅行客の利便性を高めるだけでなく、地域住民へのサービス向上にもなる。地方自治体による、カード決済での納税の導入は、督促業務を減らし、行政を効率化することにもつながる。
例えば、山梨県富士吉田市では滞納削減アクションプランを策定し、2014年4月からカード払いによる市税などの納税を可能とした。カード払いの導入によって、インターネットを通じていつでもどこでも払えるようにするなどの納税の手段を増やし、納税者の利便性を向上させた。その結果、収納率が上がったという。これに伴い、督促件数が減ることで業務の効率化が図れ、その分市民サービスの向上を目指されている。
総じて、キャッシュレス化の推進は、訪日外国旅行者による消費拡大や、住民の利便性向上、行政の効率化など、「地方創生」への様々な効果が期待できる。
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