NTTドコモ、大鰐町 VRでバーチャル散歩、次世代PRに挑戦

シティプロモーションには、勘と経験だけでなく、科学的な現状分析が欠かせない。ICTを活用した戦略的シティプロモーションに産官学連携で取り組む、青森県大鰐町での取り組みを紹介する。

トークセッションの様子。左から、田中里沙(事業構想大学院大学 学長)、相馬康穫(プロジェクトおおわに事業協同組合 副理事長)、木暮祐一(青森公立大学 経営経済学部 地域未来学科 准教授)、富永泰治(NTTドコモ 法人ビジネス戦略部 アライアンス推進担当課長)

青森県、津軽地方の南に位置する人口約1万人のまち、大鰐(おおわに)町では、360度動画を使ってまちの魅力を発信するVRプロモーションに取り組み、成果を上げている。

仕掛けたのは、大鰐町地域交流センター「鰐come(わにかむ)」を運営するプロジェクトおおわに事業協同組合と青森公立大学、そして、地域との協創に力を入れるNTTドコモの三者。NTTドコモ法人ビジネス戦略部の富永泰治氏は、「"大鰐町の本当の魅力を伝えたい"という想いを持つ、プロジェクトおおわに事業協同組合副理事長の相馬康穫氏と、ICTを活用した地域発信を探る青森公立大学地域みらい学科の木暮祐一准教授との出会いに、NTTドコモのソリューション・サービスが加わるカタチでタッグを組んで取り組んでいます」と話す。

コンテンツ戦略に統計データを活用

VRプロモーションの第一弾として、2017年6月30日から12月末(予定)の期間限定で、「鰐come」と東京都千代田区にある「青森県観光案内所」に、体験コーナー「おおわにバーチャルさんぽ~360度動画でおおわに観光」を設置している。

動画コンテンツを制作するのは、木暮研究室の大学生たち。視聴者がより簡単にVRコンテンツを操作できるよう、2017年6月にNTTドコモが法人・自治体向けに提供を開始したサービス、「みんなのVR」を、全国の自治体に先駆け採用した。

「コンテンツは8種類用意していますが、『みんなのVR』を使うことで、どのコンテンツの視聴が多いかデータで確認することができます。コンテンツの入れ替えや不人気のコンテンツを外すなど、統計データによるコンテンツ戦略を練っていけることは、大きな利点です」(木暮氏)。

今は見ることのできないものを見せられるのがVRの特長。「四季のコンテンツを用意することで、"別の季節にもまた来たい"と観光客を惹きつけられますし、まちの様子を見ることで、鰐comeから出てまちなかを回遊する人も増えています」(相馬氏)。

世界中の人を日本の田舎まちへ...

「ICTを活用するメリットは、科学的な検証と分析ができることです」と木暮氏。NTTドコモの『モバイル空間統計』を活用することで、大鰐町を訪れる人の年齢や性別、地域などのデータを分析し、動画コンテンツの企画に生かしている。

「どんな属性の方がどこから町にきたかという量的なデータと、一人ひとりがどんな想いで大鰐町に来たかという質的なアンケートを、比較的安価に収集することが可能です。それを組み合わせることで、今後、さらに事実に基づいた分析ができるようになると考えています」(富永氏)

統計の活用で、首都圏や東北、北海道からの観光客が圧倒的に多いといったデータを得た、プロジェクトおおわに事業協同組合では、今後、関西圏への営業に打ってでることも考えている。

「我が町の魅力を世界へ発信することで、日本の田舎まちに世界中の人が来てくれるようになれば素晴らしい。地域おこしをキーワードにこれまで全国に大鰐町を発信してきましたが、ICTを上手く活用することで、加速度的にまちが元気になっていくと感じています」(相馬氏)。ICTを活用した次世代プロモーションを利用し、大鰐町は挑戦を続ける。

 

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