企業家精神とグローバル感覚 大阪の強みは「大阪人」にあり
江戸時代、そして明治期から戦後の高度経済成長期まで日本経済をリードしてきた大阪。バブル崩壊後の地盤沈下を嘆く声も多いが、いま大阪には、従来とは違ったカタチで新たな"飛躍"の機会が訪れつつある。果たして大阪はそのチャンスをつかめるか?
企業家精神のメッカ=大阪
江戸時代、「天下の台所」として日本経済をリードした大阪は、明治以降、わが国の資本主義の礎を築く企業家たちの主要な活躍の舞台となった。
五代友厚(商船三井、大阪商工会議所)、小山健三(三菱東京UFJ銀行)、武藤山治(カネボウ)、大原孫三郎(クラレ)、小林一三(阪急電鉄)をはじめとする綺羅星の如き人々。彼らに共通するのは、近代産業の形成・発展に尽力するイノベーターであると同時に、社会課題の解決、あるいは芸術・文化・ライフスタイルの創造を行うソーシャルアントレプレナーだった点である。明治後期から昭和戦前期にかけて企業家・インテリ層を中心に勃興した芸術文化運動"阪神間モダニズム"はその現われのひとつであろう。
1945年の大空襲で灰燼に帰した大阪であったが、敗戦後もまた、松下幸之助(松下電器産業)、井植歳男(三洋電機)、早川徳次(シャープ)、中内功(ダイエー)、佐治敬三(サントリー)をはじめとする多数の企業家が、大阪を舞台に日本の戦後復興・高度経済成長の先頭を走り続けた。
「大阪企業家ミュージアム」を訪れると、明治維新から高度成長期までに日本経済の発展に尽力した大阪ゆかりの企業家が紹介されているが、その数は実に105人に達する。まさに、大阪は、日本の企業家精神を育み、花開かせてきた稀有な街なのである。
その精神は、バブル経済の崩壊後、一見、鳴りを潜めているようにも見える。数々の指標からも"大阪の地盤沈下"は明白であろう。
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