日本進出100周年 アメックスブランドを支える広報戦略

エディ操(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル 副社長 広報)

社会貢献に積極的な会社

上野:日本でビジネスを始めて今年で100周年と伺いました。

エディ:アメリカン・エキスプレス(アメックス)は、1850年に急行便の会社として創業しました。扱う商品は変わりましたが、常に根底にあるのは世界で最も尊敬されるサービス・ブランドでありたいというビジョンです。

上野:ビジョンを社内外で理解してもらうために、どんな取り組みをしていますか。

エディ:「顧客の立場を最優先」「あくなきクオリティーの追求」「倫理的・道徳的行動」など8つの基本理念に落とし込み、社員への浸透を図っています。広報部門もこの基本理念を軸に活動しています。特に社会貢献活動には積極的に取り組んでいます。

上野:こうした活動による貴社の価値を、どのように発信していますか。

エディ:そこは広報としては悩ましいところもあります。サービスの良さや社会貢献活動への積極的な取り組みなどは、自分たちからアピールする性格のものではなく、お客さまがブランドを体験された結果として感じていただければと考えています。

もちろん、それだけでは十分ではないので、ブランド広告やインターナルコミュニケーションを通じてブランドの理解に努めています。

有事にこそ頼られる企業へ

上野:100年という長い歴史の中では様々なストーリーがありそうですね。

エディ:第一次世界大戦の時は、帰国できなくなったアメリカ人を、当社のヨーロッパオフィスが全員帰国の途に就かせたという記録が残っています。東日本大震災の時には、お客さまに生活物資を社員自らが送っていました。このことには多くの感謝の声をいただきました。

上野:社員のみなさんのそうした行動が、世界で最も尊敬されるサービス・ブランドの裏付けになっている。それがアメックスの財産だと思います。

エディ:当社のシニアマネジメントは、「真のお客さまへの気持ちというのは、有事の時こそ分かるのだ」と、よく話します。有事の時に頼りにされるようにならなければいけないし、頼りにされたら、それに報いる努力をする。そうした教えが、アメックスの文化として社員に浸透しているので、このような行動につながったのだと思います。

上野:貴社が本来大切にしている価値観を、会員や社外の方に分かってもらうために、広報として、どのような工夫をされていますか。

エディ:「有事の際にこんないいことをしました」と、自分たちからアピールするようなことはありません。アメックスの価値をご理解いただいている、いいお客さまがついてくださっていますが、それはまだマスではありません。ですから、ブランドコミュニケーションやSNSを通じて、少しずつ理解を広げていきたいと思います。

《聞き手》
社会情報大学院大学 学長 上野征洋氏

 

エディ 操(えでぃ・みさお)
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル 副社長 広報

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