京大発EVベンチャー 「隠し包丁」と「礼節」で世界を席巻

世界の自動車産業のEV(電気自動車)シフトが加速する中、今、京都のEVベンチャーが世界から注目されている。和食の伝統が画期的な開発思想を生み、礼節を重んじる企業文化が、グローバルビジネスの円滑化をもたらしているという。京都大学発ベンチャーの底力に迫る。
文・嶋田淑之(ジャーナリスト、産業能率大学兼任教員)

 

99台限定のスポーツEV「トミーカイラZZ」。エンブレムには京都伝統の「七宝焼き」を使い、また「隠し包丁」の考え方でドライビングの快適感を創出している

EVシフトが進む
世界の自動車産業

今、世界の自動車産業は大きく様変わりしようとしている。2015年、中国はエコカー(EV、PHEV、FCV)の生産台数においてアメリカを抜き世界のトップとなり、インドは2030年までにすべての販売車をEVにする目標を発表。

一方、米国では、2017年4月、EVベンチャーのテスラモーターズが時価総額でゼネラルモーターズを超えた。欧州においては、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、フランス、イギリスなどが、ガソリン車とディーゼル車販売終了に向けた目標を相次いで発表している。

日本では、2017年6月、トヨタ自動車の株主総会で豊田章男社長がEV時代の本格到来とIoTやAIの導入加速化を視野に入れて、「今後テスラモーターズやグーグルが競争相手になる」と発言。

今や、世界各国のベンチャー企業が、IoT、AIなど先端技術を搭載した新型EVを続々と発表し、ビジネスチャンスはグローバルに広がっているように見える。しかし、乗用車カテゴリーにおいて、EVを量産化し得ているベンチャー企業となると世界に2社しかない。米国のテスラモーターズと日本のGLMである。

GLMは、2010年、京都大学の産官学連携プロジェクトをベースに、当時、京都大学大学院経営管理教育部(MBAコース)に在籍していた小間裕康氏(40)が設立。現在、資本金32億2914万円(資本準備金等含む)、従業員数23人(内技術者16人)であり、完成車事業とプラットフォーム事業を展開している。

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