タイのスタートアップ、強みはITではなく「旧来型産業」に

ASEANの中心地であるタイは、自動車などの製造業が多数集積しており、スタートアップもIT分野ではなく製造業や農業などの旧来型産業で活躍している。"Not available on the App Store"なタイのスタートアップを紹介。

地球のあらゆる場所と同じく、タイでも「スタートアップ」はニュースやSNS、論文、イベントで注目の話題である。とくに、IT系のテクノロジースタートアップは最も人気のあるビジネスカテゴリーだ。しかし、一部の国とは異なり、タイの強みは決してIT領域にはなく、今後も大きな成長は見込めないだろう。では、タイのスタートアップの強みやチャンスはどこにあるのだろうか。

タイは自動車や電機などの製造業が集積しており、農業の国際競争力も高い(首都バンコクの街並み)

タイのスタートアップの課題

スタートアップの"ブーム"にも関わらず、タイの経済成長のエンジンは依然として中小企業だ。世界から取り残されないために、タイ政府は現在、スタートアップの育成に大きな投資を行っており、今後数年間で、独自のユニコーン企業を生み出すという目標を掲げている。しかし、タイ政府は中小企業振興とスタートアップ育成の根本的な違いを十分に理解していないようだ。この理解の欠如は、政府がスタートアップの飛躍に不可欠な規制緩和を行わないことにはっきりと現れている。

スタートアップへの「投資」もタイの課題だ。スタートアップエコシステムを形成できるだけの潤沢な資金がタイ国内には存在しているが、現在、これらの資金は不動産に流れてしまっている。当たり前のことだが、投資対象が「現物」である不動産は、スタートアップへの投資に比べてリスクが低い。「スタートアップって何?」と言う投資家もいる。このため、タイのスタートアップはシンガポールや米国などの海外から資金調達する必要がある。

シリコンバレーから伝わってくるIT系スタートアップのサクセスストーリーの影響で、タイでは次のユニコーン企業を探す動きが活発だ。タイの大企業(モバイルサービスプロバイダー、エネルギー、不動産開発、建設などあらゆる分野)や教育機関は、何とかその「ゲーム」に関与しようとしており、スタートアップアワードやハッカソンなどのイベントを頻繁に開催している。しかし、そこから生まれる成果の大半は、どこかで見たことのあるアプリやウェブサービスばかりだ。ITという競争の激しい市場で、タイはまだフォーカスすべき分野を見い出せていない。

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