「自由貿易」 と分業が基本 成功例に見る地域活性化のポイント

地方創生、地方活性化に必勝の方程式はないが、押さえておきたいポイントはいくつかある。財務省時代、財務局をハブとする『地域連携プラットフォーム』の構築に尽力した渡部晶氏が語る、地域経済活性化のための戦略と構想とは・・・。

「フラガールのふるさと」いわき市で、フラ文化を通じ地域活性化を図ろうと立ち上げられた全国高等学校フラ競技大会フラガールズ甲子園。

渡部 晶(沖縄振興開発金融公庫 副理事長)

経済の原則を忘れずに・・・

地域経済の活性化、雇用の創出について渡部氏は「まずは、地域経済の構造を理解し、ポイントを押さえて有効な施策を行うことが不可欠です」と話す。

地域経済には、地域外を大きな市場とする『域外市場産業(製造業、農業、観光)』と地域内を主な市場とする『域内市場産業(日用品小売業、対個人サービス業)』に分けて考えることができる。

お金の流れで見れば『製造会社が地域外に製品を販売し売上を得る→従業員に給料を支払う→地域住民が地元スーパーで買い物をする→スーパーが従業員に給料を支払う』といった循環で域内需要が拡大する。

域外から資金を流入する域外産業が地域経済の心臓部と言え、域外から資金を稼いでくる産業集積を促進し、競争力を強化することが重要な施策の一つとなる。

「地域内でお金を回すといった意見もありますが、これは、経済的には少しおかしい。経済活性化の基本は自由な地域間取引(自由貿易)と分業です。交流、交易して、不得意な部分は外から買ってくるのが、地域経済の効率性を高める基本です」(渡部氏)。

日本全体の生産性を高めていく時には分業の利益を忘れてはならない。何でも自分たちでやろうとすれば生産性は下がる。

「地域それぞれに想いはあっても、我々が中世時代から生活水準を向上させてきた、"楽市楽座"や分業という経済の大原則を忘れてはならないのです。それに逆らっても決して成果は生まれません」(渡部氏)。

「自由貿易」と分業、この2つの原則を押さえたうえで地域振興をしていくのが、まずは基本と言える。

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