金沢と能登の格差解消手段は? 強烈な「半島個性」に活用余地

金沢周辺域で北陸新幹線開業の効果が継続する一方で、能登地方は過疎化や交流人口の減少に歯止めがかからない。石川県は、この跛行(はこう)性をいかに解消すればよいのか。

輪島市名舟町の伝統芸能「御陣乗太鼓」のように、能登には個性豊かだが知られていない資源が多数存在する Photo by 石川県観光連盟

「ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの...」

文豪・室生犀星の有名な一節であるが、終生、故郷金沢を愛し続けた彼が亡くなって56年。金沢は今、活況を呈している。

北陸新幹線が2015年に開業以降、心配された翌年以降の"反動減"もなく、それどころか、国内外を問わず、来訪者数を増やし続けている。その影響は、観光面だけに留まらず、金沢周辺域(加賀地方)に集積している機械・繊維など2次産業群の事業環境を大幅に改善しているようだ。

ところが、その一方、同じ石川県内でありながら、新幹線開業以降、一転して交流人口の減少に苦しんでいる地域がある。その代表例は能登地方。たとえば、全国的に知られる輪島市の「朝市」などは、新幹線開業後、実に4割以上も来訪者を減らしている(2015年と2016年の各1月比)。

興味深いことに、ほぼ同時期、東京~小松間、東京~富山間の空路も客数が激減している。従来であれば空路、石川県に向かった人々が北陸新幹線に流れ、移動時間増加の結果、能登半島にまで足を伸ばすことなく金沢周辺を楽しむようになったのであろう。

石川県が今後どうしても克服しなければいけない課題――それは、「金沢周辺域と能登地方の跛行性をいかに解消するか」ということである。果たして、それは可能か?

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