「決済」を充実、地方を支える

地方自治体と連携し、さまざまなサービスで地域活性に取り組む楽天。近年は、スマホアプリ決済「楽天ペイ」、電子マネー「楽天Edy」、クレジットカード「楽天カード」など、決済サービスにも力を注ぎ、地域に人を呼び込み、消費の振興につなげている。

――楽天は、地域活性の取り組みに力を入れています。

中村 楽天は創業以来、地域や出店者をエンパワーメントするという思いをもって事業を拡大してきました。

楽天の強みは、ECによる販売や情報発信、トラベルによる集客、リアル店舗の顧客獲得や決済サービスなど、地域活性に必要な機能を網羅していることです。グループが持つさまざまなサービスを利用し、顧客が抱えている課題をワンストップで解決することができます。

地域や出店者向けだけでなく、利用者向けサービスについても同様です。たとえば、楽天の共通ポイントと電子マネーの機能を集約した、一体型のクレジットカードを発行しています。この進化した「楽天カード」は、クレジットカード、電子マネー、現金のいずれの決済手段を選択しても、楽天スーパーポイントを貯めることができるなど、高い利便性を実現しています。

中村 晃一(楽天 上級執行役員、カード&ペイメントカンパニー シニアヴァイスプレジデント)

――地方の決済インフラの課題について、どう見ていますか。

中村 都市部と比較して、地方では、クレジットカードの支払い割合が低い傾向にあります。クレジット決済端末を導入している店舗の割合が低いことがその一因と考えられ、訪日外国人等にとって日本の観光地は、日常的に利用しているクレジットカードを使える機会が少ない状況になっています。

従前、店舗がクレジット決済に対応するには、端末導入の費用負担、加盟店手数料の不透明感、決済から入金されるまでの期間の長さなど、数々のハードルがありました。

楽天が提供する「楽天ペイ(実店舗決済)」は、スマホにカードリーダーを接続し、クレジット決済端末として利用できるサービスであり、そうした課題を解決できます。カードリーダーは1万8800円と安価で、決済手数料も低く設定されており(注)、365日いつでも決済の翌日(楽天銀行以外は翌営業日)に自動で入金します。

今、日本におけるクレジットカード決済金額は約50兆円。楽天は、その市場を奪い合うことを考えているわけではありません。「楽天ペイ」であれば、中小の事業者でもクレジット決済を導入しやすくなり、50兆円の市場をさらに広げていくことができます。

地域にとっては、決済手段を多様化することが、その地域を訪れた人により多くの消費を行ってもらうためのインフラづくりになります。

地域への顧客流入を後押し

――楽天は、プリペイド型の電子マネー「楽天Edy」も提供しています。

中村 楽天Edyは、全国各地のコンビニやスーパー、ドラッグストアなど47万ヵ所以上で利用できます。今、地域のスーパーと協業し、各スーパーが展開している会員サービスと楽天Edyを組み合わせた「Edyカード」の発行を進めています。「Edyカード」をスーパーへ導入することにより、小銭いらずで買い物ができ、決済スピードも向上するなど、地域住民にも数々のメリットがあります。

2017年1月から、ローソンで買い物をする際に楽天Edy、楽天カードで支払いをすると、楽天スーパーポイントが2倍になるキャンペーンを実施しています。他の事業者と提携し、顧客の流入・固定化をもたらすサービスを提供していますが、そうした施策は地域でも有効だと考えています。

「楽天ペイ(実店舗決済)」は、スマホにカードリーダーを接続し、クレジット決済端末として利用できる

「楽天ペイ」は、スマホアプリ決済にも対応。決済方法は、店舗のスマホ・タブレット端末からQRコードを読み取る「QRペイ」と、ユーザー自身がスマホに金額を入力して決済する「セルフペイ」から選択できる

――楽天は地域において、どういった取り組みを展開しているのですか。

中村 楽天が何をサポートできるかは、各地域の課題や強み、地域の方々が何をやりたいのかによって変わります。

現在、25の自治体と包括連携協定を結んでいます。北海道釧路市は、以前から地域独自のポイントカード「くしろスキップカード」を発行していましたが、そのポイントサービスと楽天Edyを連携させ、「くしろスキップRポイントカード」を開始しました。

この連携では、全国の楽天会員に向けて、釧路市内の「くしろスキップカード」加盟店の情報を発信しています。さらに、「くしろスキップRポイントカード」で楽天Edyを利用すれば、市外在住者でも釧路市内のみで使えるスキップポイントを貯められるため、釧路への来訪や商品購入が期待できます。

また、岐阜県飛騨市との包括連携協定では、地方自治体で初となる、楽天Edyを活用した市のファンクラブ制度をスタートしました。

楽天は地域の個性を活かしながら、一緒にサービスを設計していきます。電子マネーや楽天スーパーポイントをはじめ、さまざまなサービスを他社に“オープン”にして利用できるようにしています。1枚のクレジットカード、1つの電子マネーをいろいろなシーンで使えることは、ユーザーの利便性向上につながります。

楽天にとって重要なのは、その取り組みが地域のエンパワーメントにつながるかどうかです。

地域の“多様性”を活かす

――今後、どういった決済サービスに力を注いでいきますか。

中村 地域のエンパワーメントとともに、楽天が大切にしている考え方が“多様性”です。画一的な手法を押し付けるよりも、地域の資源や強み、思いに応え、“多様性”を活かしたサービスにすることで、持続的な取り組みが可能になります。

2016年10月、「楽天ペイ」はカード決済に加えて、スマホアプリ決済をスタートしました。従来のクレジットカードよりも簡単に決済することができます。

スマホアプリ決済「楽天ペイ」にも、エンパワーメントと多様性の考え方が息づいています。カードリーダーを導入する必要なく、店舗側の保有するスマホやタブレット端末があれば利用できるので、店舗側の導入負担はより軽くなります。また、ユーザーは、アプリの地図上で付近の「楽天ペイ」対応店舗を検索することができ、域内での回遊を促す仕掛けにもなります。

決済手段の多様化は域内経済に欠かせないインフラであり、そこからさまざまな施策が可能になります。楽天は、楽天会員IDを軸に、クレジットカード、電子マネー、スマホアプリ決済などの決済サービスを充実させ、インバウンドや都市圏からの交流人口増加、地域のファンづくりをパワフルにサポートできます。

また、実際に訪れた方々の地域での消費を増やし、域内循環を加速させることができます。ぜひ地域の事業者や自治体とタッグを組んで、前に進みたいと考えています。

(注)Visa, Mastercard, American Expressは3.24%、JCB, Diners Club, Discoverは3.74%

中村 晃一(なかむら・こういち)
楽天 上級執行役員
カード&ペイメントカンパニー シニアヴァイスプレジデント

 

お問い合わせ

  1. 楽天カード株式会社 加盟店部
    加盟店企画チーム

  2. TEL:03-6740-5410
  3. Mail:card-merchant-kikaku@mail.rakuten.com
  4. URL:https://smartpay.rakuten.co.jp/

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