市民総参加で「あるもの探し」 人を呼び寄せるストーリーづくり

めがねフレームの国内生産で、約80%ものシェアを誇る鯖江市は、大胆な市民参加の施策でも注目を集める。牧野市長は、「ITをうまく活用すれば、市民総参加、直接民主主義も夢ではない」と語る。

牧野百男(鯖江市長)

――鯖江の地域資源のポテンシャルを、どのように捉えていますか。

牧野 鯖江は古くから「ものづくりのまち」として、めがね、繊維、漆器などの産業が発達してきました。特徴的なのは、それぞれの産業が専業化、分業化されていることです。

たとえば、越前漆器は木地屋、塗師屋など工程ごとに専門の職人がいますし、めがねも一つの製品をつくるのに250もの工程があり、連携してものづくりを行っている。このような産業特性を背景に、地域の中に“互助の精神”が根付いていることが、鯖江の大きな強みです。

ものづくりは成熟産業でもあり、新たなイノベーションを起こすことが課題になっています。繊維産業で言うと、古くは人絹から始まりテトロンなどの新合繊へ移行し、現在では用途も衣料だけでなく、産業資材や人工血管などの医療分野に広がっています。

めがね産業でも、チタンなどの新素材や、スマートグラスなどの技術開発が進められています。

約1500年の歴史を持つ越前漆器。職人による手づくりの技は今に受け継がれ、経済産業大臣指定の伝統的工芸品の指定を受けている

「めがねのバーゼル」を目指す

――基幹産業である「めがね」について、今後の展開をどう描きますか

牧野 かつては国内外のブランド製品の下請け加工が主でしたが、今後は鯖江発の産地ブランドを強化していきます。また、めがね産業で培われた金属微細加工技術などをインターネットで広く海外に発信することで、「めがねのまち さばえ」に対する世界での認知を高め、販路拡大も支援していきます。

産地として、人を集める取り組みも実践しています。その一例が、2012年に開催した「電脳メガネサミット」。電脳メガネとは、いわゆるゴーグル型のウェアラブルデバイスです。「電脳メガネ」の現在と未来を語るこのサミットには、全国各地から300人もの参加者が集まり、活発な意見が交わされました。

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