失われる「沖縄食文化」に危機感 食品検査会社の新ビジネス

中小・零細が大半を占め、赤字企業も多い沖縄の食品加工業や飲食店。県内唯一の民間食品検査会社であるクロックワークは、衛生管理サービスを皮切りに経営・新商品開発支援にも進出、沖縄の食文化発展に貢献している。

沖縄の食品加工・飲食店は中小零細企業が多い(本島・平和通り商店街)

沖縄県飲食産業の抱える課題

食品加工業や飲食業は、沖縄県特有の食文化や土産品を担う重要な産業であり、観光地の魅力向上という役割も担っている。しかし、その大半は小規模・零細企業であり、これらの企業をサポートするサービスも脆弱かつ価格が割高で、赤字や経営難に苦しむ企業が数多く存在する。

これらの課題に対し、縁の下の力持ちとして現場の課題解決を担うのが、創業10 年目のクロックワークだ。沖縄で唯一の民間食品検査専門機関であり、除菌システムや衛生検査、教育サービスなどを提供し、現在、県内の食品加工工場や飲食店など560社の課題を解決している。最近では、沖縄の食文化のユニークさを担う中小零細飲食店に寄り添った経営支援サービスもスタートし、大きな注目を集めている。

創業者である伊志嶺哉社長は、もともと弁護士を志していたが、司法試験を突破することができず、30歳のときに起業を志した。家業の土木建築業と弁当屋経営は兄姉が引き継いでおり、起業で自分の新たな居場所を創ろうと考えたという。

「そんなとき、沖縄にはまだ普及していない除菌衛生管理の世界に出会ったのです。実家の弁当屋経営を横目で見ていて、食品衛生管理の重要性は痛感していました。一念発起して管理技術のイロハを身につけるため、本土の食品加工工場を回って修行しました」。弁護士とは手段は異なるが、人に貢献することでは同じ。そんな想いで2006年にクロックワークを起業した。

伊志嶺哉 クロックワーク代表取締役社長

失われる「沖縄食文化」に危機感

薬剤を微粒子化して空間に噴霧するクロックワークの除菌衛生管理システムは、その簡便さや低コスト性、天井など手の届きにくいところまで除菌できる性能などが評価され、県内の食品加工工場に次々と採用されていった。さらに微生物検査や消費・賞味期限リサーチ、クレーム分析などの食中毒防止分野にも事業を拡大し、飲食店やホテルなどとの取引も増えていく。

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