北三陸の「秘境」から食を世界へ 一人の変化から町は変わる
岩手県北部に位置する洋野町。水産物の宝庫でありながら、その魅力は、国内・海外に発信されてこなかった。下苧坪代表は、地域産品のブランド化に向けて、多彩な活動を展開。「世界ブランド」への足掛かりとして、台湾での販路開拓を進めている。
岩手県最北端に位置する人口1万6000人の小さな町・洋野(ひろの)町。海と森に囲まれ、高品質の食材に恵まれているが、交通は不便で「秘境」とも称される。その地で、世界を見据えて事業を進める組織がある。
その名も「北三陸世界ブランドプロジェクト」実行委員会。豊富な食資源を活かし、ブレミアム感のある加工品を開発。首都圏をはじめ国内はもとより、台湾・香港など海外へも視野を広げ、商品開発・販売を行っている。
2013年の立ち上げから中心的役割を担っているのが、ひろの屋代表取締役であり、北三陸世界ブランドプロジェクト実行委員会委員長の下苧坪之典(したうつぼゆきのり)氏だ。
一人の変化から町は変わる
洋野町で生まれ育った下苧坪代表は保険会社のコンサルタントを経て、2010年に水産物卸売業として、ひろの屋を起業した。
「起業前に八戸学院大学の起業家養成講座で学んだのですが、そこで主任講師を務め、自らも起業家であった大谷真樹先生(同大学学長)に出会いました。地元には、起業家として事業を立ち上げたような人はいません。大谷先生はまさにメンターとも言うべき存在で、私も自分の地域を変えたいと強く思ったんです」
下苧坪代表は、地元が疲弊していくことに危機感を抱いていた。
「一人の変化から周りは変わっていきます。町を変えていくうえで、夢を大きく持つことは大切。北三陸は良質な水産物がとれるので、これまで、その素材の良さだけで商売をしてきました。しかし、日本全国でおいしい魚はとれます。水産業には古い体質が残っていますが、僕の代ではリセットして一からやる。新しい加工食品を開発し、二次・三次の展開を強化していく必要があります」
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