捨てていた海藻が「地域の宝」 健康の「スーパーフード」を実現

岩手では、不要なものとして捨てられていた海藻「アカモク」。この海藻の健康成分にいち早く注目し、事業化したのが岩手アカモク生産協同組合だ。代表理事・高橋清隆氏は、雌伏の時を経て、食品以外の展開にも力を注ぐ。

自然健康食品として注目される海藻「アカモク」は、和食・洋食のさまざまな料理で活用が進んでいる

日本ではおなじみのコンブやワカメなどの海藻類も、欧米では、ほとんど食べられてこなかった。ところが、折からのヘルシーブームで、欧米でも海藻の低カロリーと栄養価の高さが脚光を浴びている。「スーパーフード」として食事に採り入れていることを公言する欧米のセレブも現れ始めた。

海藻の中でも群を抜く栄養価

この世界的な追い風に期待を寄せるのが、岩手アカモク生産協同組合の代表理事・高橋清隆氏だ。アカモクとは、ワカメやメカブなどと同じ海藻の一種。高橋代表によれば、「海藻の中でも群を抜いて栄養価が高い」。実際、カルシウムはコンブ、ワカメの1.2倍、鉄分はワカメの5.2倍、コンブの3.5倍など軒並み高い栄養価を誇るだけでなく、免疫力の強化、抗酸化作用、脂肪燃焼作用などを含んでいる。

高橋代表がアカモクに着目したのは、家業のワカメ問屋で仕事をしていた時だった。

「たまたま、『アカモクの抽出物が抗エイズ薬として有望』というニュースを見て、『これは!』と思ったんです。父が岩手の山田町でワカメ問屋をしていて、僕も手伝っていたのですが、中国から安いワカメが入ってきて、漁協も問屋を通さずに直接取引するようになって、『何か新しいことをしなくては......』と考えていた時期でした」

高橋 清隆 岩手アカモク生産協同組合 代表理事

アカモクは、隣県の秋田では「ギバサ」と呼ばれる日常食。ところが岩手では、戦前は畑の肥料に使われ、戦後はカキの養殖に邪魔なものとして捨てられていて、食べる文化がなかった。

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