「脱炭素化」の実現目指し総合的な取り組みを

国連気候変動枠組条約第21回締約国会議では世界の国々が、同条約の下で、発展途上国を含んで、すべての締約に適用する新たな法的枠組みに合意しようとしている。「気候変動に関する政府間パネル」は、気温上昇を2℃未満とする目標の実現のためには今世紀後半には世界の温室効果ガス排出量を、ゼロまたはマイナスにする「脱炭素化」が必要だとしている。人々の暮らしや経済に大きな変化をもたらす「脱酸素化」への試みは、人々が気候変動を「自分の問題」として理解することが重要になる。

先進国による最初の一歩から
途上国も参加する枠組みへ

1992年5月の国連総会において国連気候変動枠組条約が採択されてから、23年が経過した。同年6月にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開かれた「国連環境開発会議」(地球サミット)では、世界の国々がこれに署名し、条約は1994年3月に発効した。

翌年以降は毎年、条約の締約国会議(COP)が開催され、1997年に京都で開かれた第3回締約国会議(COP3)では、先進国に対して法的拘束力のある数値目標を定める京都議定書が採択された。数値目標の達成期限である「第1約束期間」は、2008~2012年となった。

「いろいろ議論を行った結果、最初の一歩は先進国が世界の取り組みを先導すると決められたのです」。環境省において長年、気候変動枠組条約の国際交渉などに携わってきた地球環境戦略研究機関の浜中裕徳理事長は、当時の状況を説明する。「先進国が取り組みを先導することは条約の原則に定められていました。議定書の交渉は、先進国の約束を強化することを目的として行われましたが、温暖化を防止するためにはそれだけでは不十分で、将来的には途上国にも削減行動に参加してもらう必要があるという認識でした」

その後のCOPでは、先進国と途上国の間で対立が続き、途上国の排出削減強化に関する話し合いは難航した。他方で、2001年にモロッコのマラケシュで開かれた第7回締約国会議(COP7)では、京都議定書の運用ルールが合意され、議定書は2005年2月に発効した。同年末のカナダのモントリオールにおける第11回締約国会議(COP11)の際には、同時に京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)が開かれ、マラケシュ合意が正式に採択され、議定書は全面的に実施に移された。

「途上国グループはそれまで、気候変動問題の責任は先進国にあるとし、途上国が排出削減強化の義務を負うことを拒否していました。しかし、その固い態度もこの時期から、ようやく変化しはじめました。そして2011年の南アフリカ・ダーバンにおける締約国会議(COP17)では、今日に至る流れが大体でき上がり、条約の下、途上国も含むすべての締約国に適用する法的枠組みを作ろうということになりました」

2007年にバリで開催された締約国会(COP13)では、2020年に向けて、先進国、途上国を問わず、すべての締約国が気候変動対策の行動を強化することが合意された。そして、各国が目標を立てて適切な緩和行動をとることになり、その後2010年にカンクンで開催された締約国会議(COP16)では2年ごとに報告書を出すことも決められた。

「京都議定書は先進国だけが削減義務を負い、米国も離脱してしまったため、意味がなかったという見方もあります。しかし、そのような見方は短絡的だと思います。米国は離脱しましたが、他の先進国は議定書の下で、削減行動を強化しました。そうしたこともあり途上国グループの固い姿勢が徐々に変化し、今日に至る流れができたのです」

公益財団法人地球環境戦略研究機関 理事長 浜中 裕徳

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気候変動問題をめぐる状況は1990年代以降、大きく変化した。まず、世界の温室効果ガス排出量における先進国と途上国の割合が、異なるものになった。国際エネルギー機関(IEA)の統計によれば、2012年の世界におけるエネルギー起源の二酸化炭素(CO2)排出量で上位を占める国々は、第1位が中国(26%)、第2位が米国(16%)で、その後にEU28ヵ国(11%)、インド(6.2%)、ロシア(5.2%)、日本(3.9%)が続く(図1)。

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