2016年1月号
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アスリートが地域を変える

「スポーツ×地域活性」の未来 日本に眠る「資源」の見つけ方

為末 大(元プロ陸上選手)

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スポーツを活かし、地域を活性化するためには、何が求められるのか。東京・豊洲のまちづくりプロジェクト「TOYOSU会議」でチェアマンを務めるなど、スポーツと社会を結ぶことに力を注ぐ元プロ陸上選手、為末大氏に話を聞いた。

為末 大(元プロ陸上選手)

――為末さんは、現役時代に海外を転戦し、数多くの街を訪れました。「スポーツによるまちづくり」を考えた時、印象に残った街はありますか。

為末 僕はヨーロッパでの試合が多かったのですが、オランダのハーグという小さな街が印象に残っています。街の真ん中に競技場があって、朝は子ども、昼はお年寄りがいて、夕方にはお父さんがサッカーをしに来る。スポーツが街に根付いていました。もう一つ、3年間、アメリカのサンディエゴに住んでいたのですが、大学を中心に地域の住民がスポーツを楽しむ文化があって、すごく良い雰囲気でした。そうした街と比較すると、日本におけるスポーツは、「楽しむこと」よりも「教育」としての側面が強いように感じます。だから、スポーツは辛く苦しいものだと思われがちで、大人になると敬遠されてしまいます。

――日常的にスポーツを楽しむ文化を根付かせていくためには、どのような取り組みが必要だと思いますか。

為末 例えば、日本陸連であれば、日本陸連の中にレクリエーション部のような陸上を楽しむための部署をつくるのが良いと思います。現在、日本陸連の関心は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向いています。その一方で、30歳以上の世代に対しては全くケアがなされておらず、スポーツ人口の裾野を拡大する取り組みは、JOCやスポーツ庁の主導で進めることも考えられます。レク部ができれば、引退した選手たちの活躍の場が広まり、多くの人にスポーツの楽しさを伝えるだけでなく、引退した選手自身もスポーツを楽しめる環境ができます。

「校庭」は日本の重要な資源

――海外と比べて、スポーツ施設などハード面の充実については、どう感じられていますか。

為末 高齢社会の中で、予防医療による医療費削減、企業による健康経営の推進がうたわれていますが、一般の方が気軽にスポーツできる環境は全く整っていません。しかし日本は、スポーツ施設大国になれるポテンシャルを持っています。例えば、学校の校庭を開放するのも一案です。世界的に見ても、全国の至る所に、あれだけ広い校庭を持つ学校がある国は珍しい。都内の学校を土日と夜に開放するだけで、都民の運動実施率は高くなるでしょう。都内では、だいたいどの学校も徒歩10分ぐらいの距離にあります。2020年に向けて、徒歩10分でスポーツを楽しめる環境がある国を実現すれば、世界に対してもインパクトがあると思います。また、大学も地域住民に開放すべきです。日本の大学は設備が充実しているので、大学がスポーツ関連の施設を開放すれば、それは地域のブランディングにもつながります。

――為末さんがチェアマンを務め、各界の若手有識者が新豊洲のまちづくりを語り合う「TOYOSU会議」では、陸上のトラックや広場を備えたトレーニング施設の新設を計画しています。ハードを新しくつくる際に求められることは何でしょうか。

為末 僕は絶対にカフェとバーが必要だと思います。欧米の感覚では、競技場にカフェとバーがあるのは当然です。都内の競技場すべてに、おいしいものを食べられる施設をつくり、スポーツが目的ではない人でも、フラっと立ち寄れるようにすることが大事です。校庭の開放も、少子化で空いている教室を使って、市民が憩えるカフェを併設するぐらいまで持っていけたら面白くなるでしょう。

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