巨大地下空間を「遊び場」に 大谷石採掘場跡をプロデュース

大谷石の地下採掘場跡を舞台にした体験型観光のツアー、『OHYA UNDERGROUND』を仕掛けるチイキカチ計画。それは、地下空間の価値を伝える1枚のイメージ画像から始まった。
取材協力:リンカーズ

 

宇都宮市の中心部から車で20~30分の距離にある大谷地域。そこには、大谷石を掘り出してできた巨大な地下空間が広がる

宇都宮市の中心部から、西へ車で20分ほどの大谷町は、帝国ホテルにも使用された建材、大谷石の産出地だ。昭和40年代に最盛期を迎えたが、建築基準法の改正や石の需要低下などで年間出荷量が約89万tから2万tにまで減少。現在は、採掘場も10ヵ所程度となっている。

この地域にある大谷資料館には、かつて採石場として使われた跡地がある。ヒンヤリとした空気が身を包む巨大地下空間。その静かな迫力を持つ独特の風景は、宇都宮市内有数の観光スポットとなっている。

チイキカチ計画は、地下空間を舞台に、ボートに乗ってのクルージングなど体験型観光を企画。予約待ちが出るほどの人気となっている

1枚の画像で集まった仲間

「昔から“地下空間”が好きなんです」と語る、有限責任事業組合(LLP)チイキカチ計画代表の塩田大成氏。

「子供の頃、大谷資料館の採石場跡を初めて見て、『めちゃくちゃカッコいい!』と大きな衝撃を受けました。海外も含めていろいろな地下空間を見てきたけど、大谷ほどの場所は他にないと思っています」

塩田大成 LLPチイキカチ計画 代表、ビルススタジオ 代表取締役

塩田氏は普段、自身の会社・ビルススタジオで、建築・不動産を中心とした空間プロデュースを手掛けている。4年程前、知り合いから「大谷には採石場跡地が250ヵ所ほどあるから、何かできないか?」と持ちかけられた。

「地下空間好きにはたまらない景色の中、進んだ先に大きな地底湖を発見。そこをボートに乗って探検できたら、面白そうだと思いました」

実現させるためには、誰の協力が必要か。塩田氏はまず、地底湖と人が乗ったボートの写真を合成し、1枚のイメージ画像を作成。思い当たる人にメールで送りつけた。その一枚の画が持つメッセージは、言葉より雄弁だったのだろう。

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