外国人観光客が4倍に 徳島の「秘境」が挑む観光まちづくり

徳島県西端の三好市は、官民を挙げた体験型観光地づくりに取り組み、国内のみならず海外からも長期滞在者の集客に成功した。交通アクセスなどの弱点を克服し、成果を挙げる三好市の観光戦略とは。

三好市の落合集落。高低差390mの急斜面に数十軒の古民家が立ち並ぶ

観光地に長期滞在者を誘致する試みが、国を挙げて本格化した2008年頃から、地域の資源を活用した「体験型」の観光が注目されるようになった。徳島県三好市では、それよりも早い2003年頃から体験型観光に着目。古民家など文化財を提供する行政と、実際にガイドを行う民間、ツアーの実施主体となる第三セクターが三位一体となった取り組みで成果を挙げている。

四国の秘境、強みと弱み

三好市は、にし阿波観光圏の中核自治体でもある。「観光圏」とは、国際競争力の高い、魅力ある観光地域づくりを目的とした観光圏整備法に基づいて、観光庁が指定するエリアのことだ。にし阿波観光圏の運営を担う、一般社団法人そらの郷の事務局次長・出尾宏二氏は、三好市が早くから体験型観光に注目した理由をこう語る。

「体験型観光が今後の主流になると早くから言われていましたが、ノウハウを持った自治体はありませんでした。そこで、三好市、そしてにし阿波観光圏が住民や地元事業者と一丸となって、地域資源をまるごと活かした体験型観光を推し進める先行事例になろうと動き始めました」

出尾宏二 そらの郷事務局次長

徳島の西端、四国の中央部に位置する三好市は、大歩危峡や黒沢湿原、四国第二の高峰・剣山といった豊かな自然を擁し、平家の落人伝説が残る「秘境」としても知られる。一方で交通アクセス面の悪条件や、宿泊施設が少ないという課題を抱えていた。

オンリーワン商品を開発

そこでまず、地域資源を見つめなおし、新しい体験型観光商品の開発に取り組んだ。

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