林業再生、サテライトオフィス... 徳島の課題「解決」力を発信

徳島県は、豊かな自然と文化に恵まれる一方、高齢化や人口減少にいち早く直面してきた。飯泉嘉門知事は「ピンチをチャンスに」を合言葉に、地方が直面する課題への処方箋を提示している。地方創生に懸ける意気込みを聞いた。

飯泉嘉門 徳島県知事

林業や中山間地の再生に成果

----徳島県は“課題解決先進県”として、これまでにさまざまな「徳島モデル」を発信してきました。そのいくつかの取り組みについて聞かせてください。

徳島県は県土の 75%を森林が占める全国でも有数の「森林県」です。ただ、長引く材価低迷による収益性の低さ、従事者の高齢化、後継者不足などにより衰退の一途をたどっていました。外材の確保も難しくなりつつあるなか、地球温暖化防止の観点からも国産材が求められる時代を予見し、2005年度開始の「林業再生プロジェクト」を皮切りに、林業の復権と豊かな森林づくりに一貫して取り組んできました。若い人も使いやすい高性能林業機械を導入し、効率的な生産体制を整えるとともに、全国初の「県産材利用促進条例」を制定し、木材利用を強力に進めてきました。この結果、木材生産量が2004年の17万m³から2014年には約30万m³に、若年林業従事者が2006年の63人から2010年に126人へとV字回復を遂げました。

また、2011年7月に地上デジタル放送に移行した際、全国的には「テレビが双方向、便利に」とうたわれましたが、本県にとっては視聴できる局数が10から3に減ってしまうことになりました。そこで10年かけて全県CATV網を整備し、しかも、後発の利で光ファイバーを活用したことで全国屈指の光ブロードバンド環境が実現しました。

このメリットを生かし、2012年3月から企業の「サテライトオフィス」誘致を本格的に展開した結果、大都市圏のICT企業30社が中山間地域を中心に続々と拠点を開設しました。生産性を維持しつつ、素晴らしい環境の中でリフレッシュしながら自己実現できる新しい働き方が「地方創生の代表例」として全国で高く評価されています。

vs東京「10の徳島宣言」

徳島は宣言する。

  1. (1)ここなら安心して子育てできることを
  2. (2)歳をとってもいきいきと輝けることを
  3. (3)しなやかに災害に立ち向かうことを
  4. (4)山奥でも速い、日本一のネット環境を
  5. (5)女性が自分らしく生きられることを
  6. (6)この地で生まれる、世界を変えるイノベーションを
  7. (7)日本の原風景を残していくことを
  8. (8)この土地の「食」は、幸せをもたらすことを
  9. (9)世界に誇れる文化を発信することを
  10. (10)「おもてなし」のルーツがここにはあることを

「vs 東京」に込めた想い

----昨年に9月には県の共通コンセプト「vs東京」を打ち出しました。刺激的なコピーですが、どのような思いを込めたのですか。

人口集中が進む東京には、地方にルーツを持つ方がたくさん住んでおられます。「vs東京」は、そうした方々に向けて東京より徳島が優れた部分、勝るもの、つまり徳島ならではの価値をどんどんアピールして、「何でも揃う便利な東京が一番いいとは限らないんじゃないか」と呼びかける強烈なメッセージなんですね。vsの前に「徳島」を入れていないところがミソで、それぞれの地方が東京に向けたメッセージを打ち出し、人や仕事の地方回帰が進むことを期待しています。

また、vsは対決の「たい」であると同時に一対の「つい」と読むことができます。昨年12月に舛添東京都知事と対談した際には、その思いをお伝えし、首都圏の高齢者問題や東京オリンピック・パラリンピックを成功に導く文化面での連携など、日本の未来のために、徳島と東京が一対のパートナーとして協力し合うことを確認しました。

この共通コンセプトは、昨年1月に立ち上げた将来の徳島県庁を担う40代以下の14人のチームによるタスクフォースが考え出しました。コンセプトを発表した昨年9月、軌を一にするように安倍内閣が「地方創生」を重要政策として掲げました。

地方創生のキャッチフレーズである「知恵は地方にあり」は、実は2010年度、これまでの国に「陳情」するスタイルを、地方の実情や知恵を盛り込んだ「政策提言」に変えていく際、他との差異化を図るために本県が発信した言葉です。

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