なぜ林業は衰退したのか 森林の「多面的価値」に新ビジネス機会
国土の3分の2が森林で覆われる日本。しかし、林業は衰退の一途を辿っている。林業の抱える課題と、再生への道筋とは何か。
世界一安いのに売れない国産材
日本の林業産出額は1980年の1兆1582億円をピークに減少傾向にあり、2012年には4000億円を下回った。林業従事者は1980年の14万6000人から5万1000人まで減少。手入れがされず荒廃した森林が日本中で増えている。
なぜ、林業は衰退してしまったのか。そもそも、現在の日本の林業は、戦後、国が主導して形づくられたものだ。戦中・戦後には軍需物資や復興のために広葉樹が大量に伐採され、そのかわりに、建築用木材として経済的価値が高い、スギやヒノキなどの針葉樹を植林する「拡大造林政策」がとられた。しかし、これらの木が育つ前の1964年に木材輸入が自由化され、安価な外国産材が市場を席巻してしまった。
現在、世界的な木材需要の逼迫で外国産材は高騰しており、国産材のスギは「世界一安い」とさえ言われている。それにも関わらず、国産材の供給量はこの10年、横ばいで推移している。
不足する経営的視点
「極端な表現ですが、我々が携帯電話のない社会に戻れないように、外国産材のない木材・建築業界はもはや成り立たないのです。問屋への電話一本で、ミリ単位に加工された外国産材が、短納期で届くシステムができあがっている。一方で国産材は、流通量が少なく質も不安定で、トータルで見ると高コストです。経済合理性だけで考えれば、国産材を使う意味はほとんどありません」。そう指摘するのは、国産材を使った家具の製造・販売で成長するワイス・ワイスの佐藤岳利代表だ。
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