総務省の地方創生戦略 地域資源と金融活用で事業創出
総務省では集約とネットワークによる地域全体の経済性向上をはかる「地域の経済構造改革」に取り組んでいる。総務省の地域力創造グループで自治行政局地域政策課長を務める猿渡知之氏が最新の取り組みを語る。
政府では、地域が年金収入などの公的資金に大きく依存している従来の形態からの脱却が急務であると考えている。国の税収・歳出とも極めて厳しい現在の状況下では、地方が自ら資金循環を起こし、自身の力で活性化していくことが、至急の課題だ。
地域経済イノベーションサイクルの創出
若者が進学や就職のため東京圏へ流出している現状が、地方の活力を大きく失わせている。若者の流出は、直接的に出生数の減少につながるだけでなく、将来にわたる地域の需要の減退と有力な労働力の喪失となって、地域の経済活性化を阻む大きな要因となっている。
さらに、このように地方の若年人口の減少が経済の停滞をもたらせば、そのことが、さらに人口減少に拍車をかけることにもなりかねないことから、東京への一極集中に歯止めをかけ、人の流れを変えることが求められており、総務省としても全力で取り組みたいと考えている。
進学も就職を意識して行われる。東京への一極集中に歯止めをかけ、人の流れを変えるためには、地域資源や恵まれた生活環境を活かして、多くの魅力ある雇用機会を創出することが最も重要である。
このため、総務省では、中小企業庁や金融庁などと連携し、「ローカル10,000プロジェクト」等を強力に進めている。これは、自治体が核となって、産・学・金・官が連携し、地域の資源と地域金融機関の資金を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型企業の立ち上げを支援することで、地域経済の好循環を創り出していくものである。
立ち上げの実例として青森市の事例がある。総務省・金融庁のバックアップのもと、青森市と青森銀行、弘前大学の三者が資金、技術面で水産加工会社を支援した。ナマコ廃棄物から抽出した成分が水虫防止に有効性を持つことを発見した。さっそく繊維メーカーと共同開発を始め、事業化を進めている。このようなプロジェクトを全国で誕生させる「地域経済イノベーションサイクル」を加速していきたい。
分散型エネルギーインフラで地産地消を
総務省では、電力システム改革による小売りの全面自由化等を背景に、「分散型エネルギーインフラプロジェクト」を推進している。
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