まち・ひと・しごと創生本部の戦略 「1700の処方箋」を作成へ

人口減は全国共通の課題だが、地域によって状況は大きく異なる。各自治体が地域の課題を見つめ、独自のビジョンと計画を立案し、産業育成から子育て支援まで幅広い事業に挑む必要がある。

始まった高齢人口の減少
医療・福祉産業任せは要注意

日本の人口減少には歯止めがかかっていない。出生数は1973年に209万人を記録して以降、ほぼ右肩下がりで、2013年には102万人にまで低下。100万人を割るのも近そうだ。

1億2806万人の人口(2010年)は、合計特殊出生率1.35の中位推計で試算した場合、2060年には8674万人まで減ると予想される。国が掲げる「50年後に1億人程度の人口維持」は、実は高い目標なのだ。

厚生労働省出身で、人口動向に詳しい、まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理の山崎史郎氏は、「人口減少は時間差がありながらも、都市・地方問わず進行することが予想されます。しかし、地域によって減少の状況は大きく異なります」と指摘する。

都市部はこれから、高齢人口の増加が加速し、その後人口減に転ずる。一方、人口5万人以下の地方都市は、すでに高齢人口の微減段階に入っている。そのうち過疎地は、増え続けてきた高齢人口すらも減少するという、人口減少の最終段階に突入している。

これは、産業を考える上で重要な要素だ。「過去10年間、すべての地域で就業者が増加した唯一の産業は医療・福祉分野でした(図1)。しかし、過疎地や地方都市では、もはや医療・福祉産業が雇用の受け皿にならなくなってきています」

医療・福祉産業に代わる産業が存在しなければ、今後、地方経済は一気に崩れ去る。新産業の育成は、あらゆる地域にとって重いテーマと言える。

出典:まち・ひと・しごと創生本部資料

東京に人口が集中する理由は、地方に良質な仕事がないというプッシュ要因が大きい。しかし、地方から上京したからといって、安定した職を得られるわけではない。東京圏も依然として就職率が低いため、若年者の非正規雇用割合が上昇するという負のスパイラルに陥っている。

山崎氏は、「男性の非正規雇用で配偶者のいる割合は低く、雇用の不安定さが結婚の障壁となっています」といい、こう続ける。「東京圏への人口流入と地方の人口減少は、就業や所得状況と表裏一体の関係にあります。雇用環境が改善されない限り、出生率は上がらないのです」

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